FXテクニカル分析:ユーロ円(EURJPY)
【サマリー】
- 今のユーロ円はドル円の上昇に支えられている
- 今週8日のECB理事会でユーロ売りとなってもユーロ円の下落幅は限定的か
- ユーロ円の下落局面では138.00前後の維持が焦点に
- ユーロ円の上昇局面では141円台の上昇に注目
・ドル円のトレンドに影響を受けるユーロ円
ドル円(USDJPY)は24年ぶりに140円台へと上昇し、週明けの東京時間もその水準を維持している。
ドル円の上昇トレンドを支えているのは、日米の利回り格差の拡大である。
特に、ドル円と日米5年債利回りとの間で強い相関関係が見られる。
ドル円と日米5年債利回りのチャート
日足(年初来)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -3% | 1% | 1% |
週次 | 1% | 2% | 2% |
黒田日銀は金融緩和政策を維持している。
よって、日米利回り格差のトレンドは米5年債利回りの動きに左右される状況となっている。
そして米債市場では現在、景気の先行きリスクよりも、インフレリスクとそれを抑制するために連邦準備制度理事会(FRB)による持続的な金融引き締め政策の方が強く意識されている。
この状況を考えるならば、目先のドル円は調整の反落を挟みながら、新たなレジスタンスポイントを探る展開が続く可能性が高い。
そのドル円と強い相関関係にあるクロス円が、「ユーロ円」である。
今年の3月以降、ドル円と同じくユーロ円も上昇トレンドを鮮明にした。
7月以降、その勢いに陰りが見えているものの、ユーロドルがパリティの水準(1.0)を割り込んでもユーロ円の下落幅が限定的となっている状況は、ドル円の上昇トレンドが大きく影響していることを示唆している。
この点を相関係数で確認すると、主要なクロス円の中でドル円の影響を受けてきたのがユーロ円(相関係数は0.65)であることがわかる。
ドル円とクロス円の相関マトリクス
基準日:2022年2月28日 / 対数差分の相関係数 / データ数:136
・ユーロ売りとなってもユーロ円の下落幅は限定的か
ユーロドルは現在、0.99-1.01レンジの攻防となっている。
ECBによる大幅利上げ(75bps利上げ)の可能性が意識されても21日EMAすら突破できない状況を考えるならば、ECB理事会後にユーロ売りの展開となる場合、ユーロドルはレンジの下限0.99を下方ブレイクし、新たなサポートポイントを探る展開へシフトすることが予想される(ユーロドルの展望については今日のIGレポートを参照)。
一方、ユーロ円は上で述べたとおり、ドル円の上昇トレンドにサポートされている。
このためECB理事会がユーロドルの下落要因となっても、米ドル高によってドル円が上昇トレンドを維持すれば、ユーロ円の下落幅は限定的になることが予想される。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 4% | -12% | -2% |
週次 | 10% | -9% | 2% |
・まずは138.00レベルの攻防を注視
ユーロ円の反落局面でまず注目しておきたいチャートポイントが、138.00前後の攻防である。この水準がレジタンスからサポートへ転換するかどうか?まずはこの点を確認したい。
なお今日現在、この水準には21日EMAが上昇している。テクニカルの面でも138.00前後はサポートポイントとして意識されやすい水準と言える。
ドル円が大きく崩れない限りユーロ円の下落幅も限定的となる可能性がある、ということはー
ドル円が大きく崩れるならば、ユーロ円もその動きに追随するということでもある。
現時点で後者の展開となる可能性は低いが、重要イベントでは相場が大きく動く可能性も否定できない。
よって、ドル円が大きく崩れる場合は、138.00(21日EMA)の下方ブレイクを想定したい。
実際にユーロ円が137円台の攻防へシフトする場合は、相場をサポートした経緯のある137.00レベルそして136.00レベルでの攻防に注目したい。
ユーロ円が、上で述べた水準(136.00や137.00のレベル)をもことごとく下方ブレイクする展開となれば、フィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準135.23レベルまでの下落を警戒しておきたい。
ユーロ円のチャート
TradingView 日足(今年6月以降)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -14% | -2% | -5% |
週次 | 42% | -2% | 5% |
・上昇局面での焦点は141.00のトライおよびブレイク
一方、ECB理事会がユーロ買いのイベントとなる場合、ユーロ円の焦点はフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準140.12レベルの攻防が焦点となろう。
先週2日の相場では、このテクニカルポイントの突破に成功した。だが、長い上ヒゲが示現し、140円以上での上値の重さを市場参加者に印象付けた。
よって、ユーロ円が上昇する局面で真に注目すべきは、リトレースメント61.8%の水準の突破ではなく、2日の高値140.75の突破である。
ユーロ円が140.75の突破に成功する場合、141円台への攻防シフトが次の焦点として浮上しよう。
なお、ユーロ円が141円台へ上昇する場合、注目しておきたいチャートポイントは141.70前後の攻防である。
この水準は、6月高値と8月安値のリトレースメント76.4%の水準にあたる。
また、7月20日から21日にかけて、レジスタンスポイントとして意識された経緯もある。この時は、長い上ヒゲが示現しローソク足の実体ペースで上昇が止められ、サポートからレジタンスの転換が見られた。
そして8月2日に安値133.39まで急落した基点ともなった。
現在のテクニカル的な要因と過去の動きを考えるならば、141.70前後で反落するリスクを警戒しておきたい。
ユーロ円のチャート
TradingView 日足(今年6月以降)
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