FXテクニカル分析:ドル円(USDJPY)
【サマリー】
- 完全には潰えていないインフレリスクと連続の大幅利上げの可能性
- 今のドル円は2つの移動平均線の攻防が焦点に
- 100日EMAの下方ブレイクは下落幅が拡大するシグナルとして警戒したい
- 134.00ブレイクならば21日MAのトライを想定しておきたい



・完全に潰えていない「インフレリスク→連続の大幅利上げ」の可能性
7月のアメリカ消費者物価指数(CPI)が総じて予想以下となったことを受け、過度のインフレ懸念が後退している。
短期金融市場では、9月FOMC(連邦公開市場委員会)での0.75ポイント利上げの確率が低下している(本日14時時点のFEDウォッチの0.75ポイントの利上げ確率は35%台で推移)。
そして米債市場では、7月米CPIの発表後に各年限の利回りに低下の圧力が高まった。しかし、そのまま低下トレンドを形成することなく、むしろ高止まりまたは反発の局面が見られる。
米金利の動きは、「インフレリスク→連続の大幅利上げ(0.75ポイント利上げ)」の可能性が完全に潰えていないことを示唆している。
米金利のチャート
TradingView 5分足(8月10日以降)
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・2つの移動平均線の攻防:100日EMA
米金利のトレンドがはっきりしないため、ドル円(USDJPY)は難しい状況に陥っている。
日足チャートで直近の動向を確認すると、現在は21日MA(今日現在135.21前後)と100日EMA(今日現在130.83前後)の間で売り買いが交錯している。
MACDの状況(=デッドクロスの示現とゼロラインを下回る状況)を考えるならば、100日EMAのトライ&ブレイクの方を警戒すべき局面にある。
この移動平均線(100日EMA)は、今年の初めと8月3日に相場をサポートした経緯がある。ゆえに短期サポートライン(3月4日安値114.65が基点)と同じく100日EMAは、ドル円の上昇トレンドを象徴する“トレンドライン”と言える。
実際にドル円がその重要ラインを下方ブレイクする展開となれば、地合いの弱さを市場参加者に印象付けるだろう。同時に、ドル円の下落幅が拡大するシグナルとして警戒しておきたい。
ドル円が100日EMAをあっさりと下方ブレイクする場合、次の下値ポイントは5月24日安値126.36レベルの維持が焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート
TradingView 日足(年初来)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -25% | -3% | -7% |
週次 | -29% | 3% | -4% |
・2つの移動平均線の攻防:21日MA
7月米CPIの結果を受け、過度のインフレリスクは後退している。
だが、上での述べたとおり、米金利は明確に低下トレンドを形成しているわけではない。
賃金インフレや住居費の高止まりなど、アメリカのインフレ低下を阻む要因は解消されていない。
また、今後発表される米経済指標-特に個人消費関連の経済指標が総じて良好ならば、大幅利上げの観測が再び台頭する可能性が残る(今日は8月ミシガン大学消費者信頼感指数が発表される)。
これらの状況が意識されているからこそ、米金利は一気に低下トレンドへ転じることなく、高止まり(2年債利回り)または反発(10年債利回り)していると考えられる。
今の米金利の状況を考えるならば、ドル円は100日EMAのトライを意識しながらも、米金利が反発する局面では、21日MAをトライする展開も想定おく必要がある。
ドル円が21日MAをトライするシグナルとして注目したいのが、134.00レベルの攻防である。
今日現在、この水準には50日EMAが推移している。
また、133.94レベルは7月米CPI前後の高安61.8%戻しの水準にあたる。
テクニカルポイントが重なる134.00の上方ブレイクは、21日MAトライのシグナルと想定しておきたい。
なお、134.00トライのシグナルとして注目しておきたいのが、133円ミドルの攻防である。今日の東京時間に半値戻しの水準133.52レベルで相場の戻りが止められた。欧米時間で133円ミドルの突破に成功するかどうか?この点を確認したい。
ドル円のチャート
TradingView 15分足(8月10日以降)
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