オーストラリアにある世界有数の液化天然ガス(LNG)施設でストが実施されている。世界全体のLNG生産量の5%以上を占める施設である。天然ガスの供給減のリスクもある中、天然ガス価格の見通しとは。また、代替エネルギーでもある原油価格の今後の見通しとは



サマリー
- 世界有数の天然ガス施設でストライキ
- 天然ガス価格の見通し
- 原油価格の見通し。パーフェクトオーダーが示現
LNG施設でストライキ
米シェブロンのオーストラリアの液化天然ガス(LNG)施設の労働者組合は、主要LNG施設2か所で、7日から部分的ストライキを開始し、労使協議が決裂した場合、14日から2週間にわたって全面的なストを実施すると警告した。
ストライキが実施されるのは、シェブロンの「ゴーゴン」と「ウィートストーン」の2か所のLNG施設で、世界全体のLNG生産量の5%以上を占める。
ストライキが長引くにつれて、LNGの供給減のリスクが一段と高まり、天然ガス価格が急上昇する可能性がある。
天然ガス価格見通し
天然ガス価格(NG1)は、水平レジスタンス2.793レベル(MMBtu当たり)の上方ブレイクに失敗し、2.455―2.793レベルの中間2.65レベル前後で推移している。
天然ガスの日足チャートで、MACDラインがシグナルラインを上抜ける天然ガスに強気の「ゴールデンクロス」が示現している。一方、RSIは50を下回り、天然ガスに弱気のモメンタムであることを示しており、テクニカル面では中立である。
豪州のLNG施設での労働ストライキが長引くとの観測が高まった場合に加え、20日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控える中、天然ガス価格の重荷となってきたFRB(米連邦準備制度理事会)による利上げ終了との見方が強まった場合、天然ガス価格はレンジ上限2.793レベルを再度トライしよう。上方ブレイクすると、天然ガス価格の7月以降のレンジ相場が終了し、上昇トレンドへの転換が視野に入る。
一方、天然ガス価格の下値の目途として2.455レベルで引き続きサポートされるかに注目。下方ブレイクすると、天然ガス価格は下落トレンドへ転換した可能性が高まる。



天然ガス価格(NG1)日足チャート

資料:Trading View
原油価格見通し
WTI原油価格は、8月10日高値84.85ドルを上抜け、上昇圧力が強まっている。更に、原油価格の日足チャートで、2022年6月以来はじめて、9,20,50,200日指数移動平均線が上向きかつ、上から順に並ぶ原油に強気の「パーフェクトオーダー」が成立している。
テクニカル面で原油に強気シグナルが点灯している。くわえて、ロシアの原油輸出削減や「OPECプラス」の原油減産などによる原油需給の引き締まり観測や、FRBの利上げ終了が近いとの思惑が原油価格をサポートし、原油価格の一段高を見込む。昨年11月から今年3月の原油価格の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準87.45ドルが視野に入る。
一方、原油価格の下値として、4月12日高値83.49ドルがサポートとして機能するかに注目。サポートされた場合、原油価格の地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著