米国株、NASDAQ、S&P500、雇用統計、債務上限法案―トーキングポイント
- 米国雇用統計は雇用市場の減速が予想されている
- FRBの金融引き締め余地は限定的
- こうした中、S&P500、ナスダック総合指数のテクニカル面の動きは?



米国債務上限停止法案が上院でも可決され、バイデン米大統領に送付されることになった。投資家のリスクセンチメントの重荷となっていた米国債務上限に対する懸念が解消したことは、S&P500、NASDAQなどの米国株にとってプラスである。
1日公表の雇用指標(ADP雇用統計、新規失業保険申請件数)は、31日のJOLTs求人件数同様、米国労働市場の底堅さを示唆する結果であった。本日は最重要指標である非農業部門雇用者数などの米国雇用統計が公表される。今週発表された強い労働指標を受け、事前予想を上ぶれることに対する警戒感は既に強く、大幅に予想を上回らない限り、FRBの一段の金融引き締め観測は高まりにくいと見込む。
2日米国雇用統計の事前予想値と前回値

また、FRB高官は6月14日の米FOMC(連邦公開市場委員会)での利上げスキップを支持する発言が相次いでいる。一段の金融引き締め観測は高まりにくい状況にあり、金融引き締め観測に弱い米国株にとってはプラスであろう。
S&P500のテクニカル分析:一段高が視野
日足チャートで、9,20、75、200日指数移動平均線が上向きかつ、上から順に並ぶ強気の「パーフェクトオーダー」が成立している。また、上抜けた場合に上昇を示唆するアセンディングトライアングルパターンの上限(4195.44ドル)を上方ブレイクしており、上昇トレンドの再開を見込む。昨年8月高値:4,325.88ドルが視野に入る。リスクとしては、米国雇用統計が大幅に市場予想を上振れ、FRBによる金融引き締め観測が一段と高まった場合が考えられる。この場合、リスクオフの流れが強まり、水平サポートラインである4,159ドルへ下落する可能性がある。
S&P500日足チャート

資料:Trading View
ナスダック総合指数テクニカル分析:一段高が視野
日足チャートで、9,20,50,200日指数移動平均線が上向きかつ、上から順に並ぶ強気の「パーフェクトオーダー」が成立している。また、上方ブレイクした場合に上昇トレンドを示唆するアセンディングトライアングルパターンを上抜けている。パターンのレンジ幅から、昨年8月の高値:13,181ドルを上抜け、13,627ドルへの上昇が視野に入る。一方、S&P500同様リスクオフの流れが強まった際には、水平サポートラインである12,700ドルへ下落する可能性がある。
ナスダック総合指数日足チャート




資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著