米国債格下げを受け、リスク回避の流れが強まり、VIX指数が急上昇している。今後のVIX指数の見通しは?VIX指数は、S&P500指数と逆の動きをする傾向がある。



サマリー
- 米国債格下げを受け、VIX指数が急上昇
- VIX指数とS&P500は逆の動きをし、ショックを和らげる効果が期待
- VIX指数の今後の見通し
米国債格下げを受け、VIX急上昇
大手格付機関フィッチ社による米国債格下げを受け、リスク回避の流れが強まっている。米国株に対する投資家心理を示すボラティリティ指数(VIX指数)が急上昇、米国株変動に対する警戒感が高まっている。VIX指数はS&P500指数オプションから算出される恐怖指数とも呼ばれ、投資家の不安心理が高まった際に上昇する。VIX指数は、3月の金融不安の際に一時上昇したものの、その後低下し、米国債格下げ前は、15ポイントを下回る水準で推移していた。15ポイントを下回る水準は、投資家が米国株に対して楽観的であり、金融市場にネガティブな要因が発生した際に不安心理が急激に悪化しやすい状況であることを示唆していた。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。
S&P500指数とVIX指数の組み合わせ
VIX指数はS&P500指数の動きと逆の関係がある。S&P500指数とVIX指数を両方保有(買い持ち)することで、S&P500指数が下落した時にはVIX指数が上昇、逆にS&P500指数が上昇した際にはVIX指数が下落し、どちらか片方だけに投資をしている場合と比べて、相場変動によるショックを和らげる効果が期待できる(※)。
VIX指数とS&P500指数

※過去の動きに基づいた傾向であり、将来の投資成果を保証するものではありません。
資料:Trading View
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 9% | -4% | 3% |
週次 | 47% | -16% | 9% |
VIX指数・S&P500の見通し
米国債格下げによるショックは徐々に和らいでいくと予想している(「米国債ショック!米国債が格下げ。金融市場の見通しは」参照)。しかしながら、8月は海外市場参加者が減ることに加え、米国金融政策動向を占う上で重要なジャクソンホール会議が開催されることから、金融市場の変動が大きくなる傾向があり、VIX指数やS&P500指数も急変動する傾向がある。特に、FRBの利上げ終了が近付いている中、米国の金融政策を巡る思惑は、金融市場の変動要因となろう。過去10年間のVIX指数の平均月次変化率では、8月が1年の中で最もVIX指数が上昇する傾向がある。VIX指数は、17ポイントまで急上昇したものの、3月の金融不安やコロナショックの時と比べて、依然として低い水準であり、一段と投資家心理が悪化、VIX指数が急上昇する可能性がある。VIX指数が急上昇した際には、構成企業の好決算が続いているS&P500指数が急落する可能性もあり注意が必要である。
VIX指数:月次変化率(過去10年平均、%)

資料:BloombergよりDailyFXが作成。



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著