※2023年3月31日9時50分更新。
豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドル、資源国-トーキングポイント



資源国通貨の中でもパフォーマンスには強弱
3月の円相場は欧米の金融不安や米金利安を受け、円高が進行した。資源国3通貨の前月末からの為替相場を確認すると、ニュージーランドドル、カナダドルが対ドルで上昇している一方、豪ドルは米ドルに対して下落して推移した。これらの通貨は同じリスクオン通貨であるものの、各国の金融政策の違いや原油価格の上昇がパフォーマンスの差につながっている。欧米の金融不安に対する懸念が後退したこと等を受け、原油価格が上昇しており、産油国であるカナダドルにプラスに影響している。ニュージーランド準備銀行(中央銀行)(RBNZ)は金融引き締めスタンスである一方、カナダ(BOC)、豪州(RBA)の中央銀行は利上げ停止、もしくは利上げ停止を示唆している。

資料:Trading Economicsより作成。前月末からのパフォーマンスチャート。資源国通貨に対する米ドルの騰落率。前月末を100として指数化。100を上回れば資源国通貨高(米ドル安)、下回れば資源国通貨安(米ドル高)を表す。3月31日6時時点。
金融政策スタンスの違いは、各国のインフレ状況に依存している。主要先進国の中でいち早く利上げを停止したカナダはインフレの鈍化傾向が鮮明となっている。

資料:Trading Economicsより作成。豪州、ニュージーランドは四半期CPIを使用。
今週オーストラリアは公式の四半期CPI(消費者物価指数)と高い相関があり速報性のある月次CPIが公表されたが、インフレ鈍化が鮮明となった。
豪州月次CPI

資料:Trading Economics
ニュージーランドも第一四半期は大型サイクロンの被害があり、22年第4四半期に続きマイナス成長になる可能性がある。また、懸念が後退しつつあるものの、金融不安も金融政策に影響する可能性がある。金融政策スタンス、原油価格の動向が為替/FX相場のパフォーマンスの差となったが、今後の豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドルの予想は?
豪ドル/米ドル:短期的には中立も豪ドル高が視野
2月に入り、豪ドル安米ドル高が進行していたが、昨年10月から今年2月までの豪ドル高トレンドのほぼ61.8%戻しで反発している。61.8%戻しは通常の戻しで見られる調整であり、豪ドル高トレンドが終了していないことを示唆する。一方、RSI(相対力指数)は50割れの水準で推移しており、豪ドル高トレンドに転換したことは示唆されず、中立の見通しとする。200日移動平均線のレジスタンスを上方ブレイクし、RSIが50を超えとなった場合、豪ドルに対して強気に見通しを変更する可能性が高まる。
豪ドル/米ドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
ニュージーランドドル/米ドル:NZドル安
20日移動平均線をサポートとし、50日移動平均線をレジスタンスとする動きが続いている。ただし、MACDラインは上向きかつシグナルラインを上回っており、ニュージーランドドル安地合いが強い。また、その他中央銀行が利上げ停止、1回程度の利上げ織り込みが多い中、ニュージーランドは追加で2回を超える利上げが既に予想されている。主要先進国の金融政策に歩調を合わせるように利上げ織り込みが剥落、通貨安圧力になる可能性もあり、ニュージーランドドル安を見込む。MACD(移動平均収束拡散手法)ラインがゼロラインを上回れば、ニュージーランドドル安トレンドが明確になろう。
ニュージーランドドル/米ドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
米ドル/カナダドル:CAD高
金融市場では既に利下げが予想されており、一段の利下げ織り込み進展に伴うカナダドル安圧力は限定的であろう。5日移動平均線が下向きかつ、20日移動平均線を下抜けており、カナダドル高トレンドを示唆している。重要な水平サポートラインである1.36541を下方ブレイク(米ドル安カナダドル高が進展)しており、今後は同水準がレジスタンスとなろう。RSI(相対力指数)も50割れに転換しており、米ドル安カナダドル高に転換していることを示しており、カナダドルに強気の見通しとする。
米ドル/カナダドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著