サマリー
- ドル円は146円台で上昇が止められている
- 一方、下値では145.00レベルがサポートの水準として意識されている
- 今日のドル円は8月PMIと20年債の入札結果でトレンドが左右される可能性がある
- ドル円のチャートポイントと売買のタイミングについて



2つの注目材料
注目材料1:8月購買担当者景気指数(PMI)
ドル円は現在、146円台まで上昇する局面が見られる。しかし、146円ミドル付近まで上昇すと反落する状況にある。
短期間でドル円の上昇幅が拡大していることで、外為市場では政府・日銀よる円買い介入の可能性が意識されている。
しかし、ドル円のトレンドは日米の利回り格差が土台となっている。植田日銀が緩和姿勢を維持している状況を考えるならば、ドル円のトレンドは米金利の動向に左右されるだろう。
その米金利の変動要因として、今日は2つの材料に注目したい。そのひとつが経済指標、8月の購買担当者景気指数(PMI)速報値である。
アメリカ購買担当者景気指数(PMI)の推移:22年7月以降(月次)
出所:S&Pグローバルとブルームバーグのデータをもとに作成
直近の動向を確認すると、製造業PMIは3ヶ月連続で景気判断の分かれ目である「50」を下回る状況にある。
一方、サービス業PMIは昨年12月に底を付けたあと反発したが、今年の5月をピークに、2ヶ月連続で低下している。
総合PMIは、サービス業PMIのトレンドに連動する状況にある。
8月の予想は以下のとおりである。
- 総合PMI:51.5(前回52.0)
- 製造業PMI:49.0(前回49.0)
- サービス業PMI:52.2(前回52.3)
製造業PMI以外は総じて小幅に低下する見通しである。
サービス業PMIが景気判断の分かれ目である「50」を視野に低下する状況が続く場合は、米金利の低下要因となろう。このケースでは、「米ドル売り→ドル円の下落」を想定しておきたい。
一方、8月PMIが総じて強い内容となれば、「米金利の上昇→米ドル買い→ドル円の上昇」を想定しておきたい。
注目材料2:米20年債の入札
現在の米債市場では以下3つの要因が意識され、7月の下旬以降、長期ゾーンを中心に利回りの上昇幅が拡大している(下チャートのグレーゾーンを参照)。
【3つの要因】
今日は、米20年債の入札(日本時間24日午前2時、160億ドル規模)が予定されている。
アメリカの財務省は、国債の発行増発を志向しているが、今日の入札が不調に終われば、需給懸念を意識した米金利の上昇が予想される。
特に長期ゾーンの利回りの上昇が予想されるが、これは米国株の下落要因でもある。
米金利の上昇と米株安が同時に発生すれば、外為市場では米ドル高の進行が予想される。ドル円は、米ドル高にサポートされることが予想される。
一方、20年債の入札で安定的な需要が見られる場合は、長期ゾーンの利回りが低下することが予想される。このケースでは、「米金利の低下→米ドル安→ドル円の下落」を想定しておきたい。
米長期ゾーンの利回りのチャート:日足 23年4月以降
ブルームバーグのデータをもとに作成
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ドル円のチャートポイントと売買のタイミング
ドル円は現在、10日MA(今日現在145.59レベル)の攻防となっている。8月4日以降、この移動平均線はサポートラインとして意識されている。ゆえに、ドル円が10日MAを下方ブレイクする場合は、売り(米ドル売り/円買い)を考えたい。
しかし、今は145.00レベルがサポートの水準として意識されている。このため、10日MAブレイクの売りは、短期で清算することを強く意識しておきたい。
145.00前後でドル円の反転が確認される場合は、短期の押し目買い(米ドル買い/円売り)を考えたい。
一方、ドル円が145.00レベルを下方ブレイクした後に、戻りの局面で145.00レベルが相場の反発を止める場合(145.00レベルの "レジスタンス転換" が確認される場合)は、再び短期売り(米ドル売り/円買い)を考えたい。
145.00ブレイク後にドル円の下落幅が拡大する場合は、144.00レベルもしくは8月3日の高値143.89レベルまで下落幅が拡大する可能性が出てくる。後者の水準付近には、21日MA(今日現在143.74レベル)が上昇してきている。
144.00レベルや143.89レベルの”サポート転換”の可能性も考えるならば、143.90-144.00ゾーンを押し目買い水準の候補と意識しておきたい。
ドル円のチャート:日足 23年6月下旬以降

TradingView提供のチャートで作成
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -11% | -2% | -4% |
週次 | -8% | 6% | 3% |
146円ミドルを上方ブレイクする場合の焦点は?
なお、日米金融政策スタンスの差が意識され、ドル円が146円ミドルの水準を完全に上方ブレイクする場合は、147円のトライが焦点として浮上しよう。
テクニカルの面では、N計算値の水準147.34レベルのトライに注目したい。
ドル円のチャート:日足 23年7月下旬以降

TradingView提供のチャートで作成
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