ポンド円の展望とチャートポイント
【サマリー】



・上下に大きく振れる展開が続く
日米金融政策スタンスの差と円買い介入(への警戒感)がせめぎ合い、ドル円(USDJPY)の変動幅が拡大している。
それにつれてポンド円(GBPJPY)の変動幅も拡大している。
直近の動きを日足チャートで確認すると、もはや168.00レベルが意識される状況になく、先週以降165.00-170.00のレンジで上下に振れる状況が続いている。
ポンド円の予想変動率(1ヶ月/3ヶ月)が再び上昇基調にあることも考えるならば、今週も上下に大きく振れる展開が予想される。
ポンドのチャート
チャート:Bloomberg L.P. / 日足(9月以降)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -3% | -15% | -11% |
週次 | -4% | -33% | -24% |
・米金利の低下と170.00の攻防
ポンド円(GBPJPY)が、レンジの上限170.00レベルをトライおよびブレイクする要因は何か?
その要因として今注視しておきたいのが、米金利のトレンド転換-上昇トレンドから低下トレンドへの転換である。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは先週21日、11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(FRB)は12月会合で利上げペースを減速させること、その場合はどのように市場に伝えるべきかーについての政策議論が焦点になる、と報じた。
報道を受け米債市場では利回りが低下し、週明けの時間外でもその動きが続いている。
米金利のチャート
チャート:Trading View 5分足(21日の欧州タイム以降)
FRBの利上げペース減速の可能性が米債市場で強く意識される場合、米金利は上昇から低下のトレンドへ転じる可能性がある。実際、米債市場でその動きが見られるならば、外為市場では米ドル売り圧力が高まろう。
ポンドドル(GBPUSD)は、「米金利の低下→米ドル安」にサポートされ、反発基調が進行するだろう。
また、「米金利の低下→米ドル安」は株高の要因でもある。
米ドル安(ポンドドルの上昇)と同時に株高で円安の圧力も高まれば、ポンド円は上限の170.00レベルをトライそしてブレイクすることが予想される。
ポンド円が170.00を完全に突破する場合(170.00レベルはフィボナッチ・エクステンション61.8%の水準でもある)、エクステンション76.4%の水準172.59レベルを視野に上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。
ポンド円のチャート
出所:Bloomberg L.P. / 日足(9月以降)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -2% | -4% | -3% |
週次 | -3% | -13% | -8% |
・ポンド円が下値トライとなる場合の注目ポイントは?
一方、米債市場で利回りの上昇トレンドが継続する場合、ポンドドル(GBPUSD)は下値を模索する展開が予想される。
米金利の上昇はドル円のサポート要因である。しかし、円買い介入またはそれに対する警戒感により、不意打ちのような反落に直面する展開も意識すべき局面にある。
よって、米金利が上昇トレンドを維持する状況が続く場合は、ポンド円の165.00トライおよびブレイクを意識しておきたい。
165.00レベルを挟んで2つのフィボナッチ・リトレースメントの水準が展開している。
さらに今週は、21日線(EMA/165.04レベル)が165.00付近で推移する。テクニカルの面でも165.00は意識されやすい状況にある。
ポンド円が165.00レベルを下方ブレイクする場合、次の焦点は159.57-73ゾーンの維持となろう。このゾーンをトライするシグナルとして、89日線(MA/163.41レベル)の攻防に注目したい。この移動平均線は今年8月に、レジスタンスラインとして意識される局面が見られた。
ポンド円のチャート
チャート:Trading View 日足(8月以降)