WTI原油、OPECプラス、個人トレーダー、テクニカル―トーキングポイント
- OPECプラス会合が近付く中、個人トレーダーは原油に対して強気
- テクニカル面では明るい兆しが出つつあるが・・・
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6月4日の主要産油国で構成されるOPECプラス会合が迫っている。ロシアとサウジアラビアは追加減産を巡り意見が対立している。原油価格は低迷を続けているが、追加減産が決定された場合、4月のOPECプラス会合における追加減産決定時のように原油価格は急騰する可能性がある。このような中、個人トレーダーは原油価格に対して強気である。これは、IG顧客センチメント(IGCS)を見れば分かる。IGCSは時に逆張り指標として機能することがある。IGCSからは、最近、強弱入り混じるシグナルが示されている。詳しく見てみたい。
個人トレーダーのセンチメント:中立
IGCSによると、原油を取引する個人トレーダーの約82%がネットロング(原油を買い持ち)にしている。ほとんどの持ち高がネットロングに傾いているため、原油価格は下落し続ける可能性を示唆している。しかしながら、ネットロングの割合は歴史的に見て高い水準にあり、一段のネットロングの個人トレーダーが増える余地は限定的と見込む。このことを考えると、個人トレーダーのセンチメントは原油価格に対して中立である。
IGCS:原油




原油先物価格のテクニカル分析:パターン上抜けなるか
4時間足で、5月15日以降連続する高値と安値が緩やかに切り上がっており、上昇圧力が強まりつつある。また、9期間指数移動平均線が20期間指数移動平均線を上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が成立している。
WTI原油4時間足チャート

資料:Trading View
日足チャートで、MACD(移動平均収束拡散手法)ラインはシグナルラインを上抜け、上昇トレンドを示唆している。一方、5月に入り中立パターンであるシンメトリカルトライアングル(対称三角形)パターン内で推移している。現在74.25ドル近辺にあるパターンの上限かつ最近のレジスタンスになっている50日指数移動平均線を上抜けられるかに注目。上方ブレイクに成功すると、上昇トレンドの開始が明らかになり、水平レジスタンスである76.72ドルへの上昇を見込む。更に上昇の勢いが衰えなかった場合、4月中旬以来の80ドル台が視野に入る。
WTI原油日足チャート




資料:Trading View
下落のリスクは?
OPECプラス会合で追加減産が見送られた場合、需給の緩みが意識され、心理的節目である70ドルへ下落する可能性がある。更に、米国債務上限の効力を2025年まで停止することが米国議会で難航した場合など、投資家のリスク回避姿勢が鮮明になった場合、米エネルギー省から戦略石油備蓄(SPR)補充のための原油購入観測が高まる67ドルまで下落する可能性がある。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著