※2023年5月17日9時53分更新。
WTI原油、IG顧客センチメント、中国、リオープン、テクニカル分析―トーキングポイント



中国で主要経済指標が公表され、軒並み事前予想を下回る結果であった。ゼロコロナ政策撤廃後の経済再開(リオープン)の進展は緩やかなものに留まっていることが示された。

中国の経済再開が緩やかなものに留まっていることは既に予想されていたことから、16日の中国経済指標を受けた原油価格の反応は限定的であった。
中国は世界第二位の石油の消費国である。中国のリオープンの一段の進展が今後確認できた場合、石油需要増加から原油価格の上昇要因となりうる。

資料:外務省
現在の中国の景気回復はサービス業中心であり、製造業の回復が特に出遅れている。製造業では原油等の資源が多く使用されるため、今後製造業の回復が進展することで、原油といった資源需要の増加が見込まれる。しかしながら、中国リオープンのペースが緩やかであること等を背景に原油価格は低迷している。個人トレーダーも徐々に原油価格に弱気になりつつある。詳しく見てみたい。
最新の原油価格はこちらでご確認いただけます。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。PMIは購買担当景気指数の略で、景気の先行指標の役割を果たす。
原油のセンチメント見通し:強気
IGCSによると、原油を取引する個人トレーダーの約79%がネットロング(原油を買い持ち)にしているため、逆張り指標の観点では価格は低下する可能性を示唆している。しかしながら、5月に入りネットロングのトレーダーの割合は低下基調である。このことを考えると、原油価格は上昇する可能性がある。
IG顧客センチメント:米国原油




資料:IG顧客センチメントより抜粋
原油価格のテクニカル分析:中立
原油先物の4時間足チャートでは、中立パターンであるシンメトリカルトライアングル(対称三角形)パターンを形成しており、テクニカル面では中立である。パターンの下限を明確に下抜けた場合、下値の目途として米国政府の戦略的石油備蓄の拡充のための購入が期待される67ドルまで下落する可能性がある。一方、パターンの上限を上抜けた場合、水平レジスタンスである76.72ドルへの上昇が視野に入る。
原油価格4時間足チャート

資料:Trading View
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著