WTI原油、金融引き締め、中央銀行、個人トレーダー―トーキングポイント



金融引き締め懸念から原油価格は下落
ECBラガルド総裁の金融引き締め継続を示唆する発言や米国経済指標が軒並み市場予想を上回ったことを受け、各国中銀の一段の金融引き締めとの思惑から、WTI原油価格は下落した。金融引き締めは将来的な景気を冷やし、原油の需要減少に繋がるとの思惑から原油価格の低下圧力となる傾向がある。
27日公表米国経済指標

原油価格は重要なレベルを試している
期待されていた中国の景気回復も緩やかなものに留まっている。中国人民銀行は利下げを実施したものの、0.1%の利下げに留まっており、景気浮揚効果は不透明である。WTI原油:67ドルは米国エネルギー省から戦略的備蓄(SPR)補充のための原油購入観測が高まりやすい重要な水準である。維持できるかどうかが、一段の下落トレンドに突入するか、原油価格の反転の可能性を残すかの重要なレベルと見込む。詳しく見てみたい。
原油のセンチメント見通し:弱気
IG顧客センチメント(IGCS)によると、原油を取引する個人トレーダーの約89%がネットロング(原油を買い持ち)にしている。IGCSは時に逆張り指標として機能することがある。ほとんどの持ち高はまだネットロングに傾いているため、価格は低下する可能性を示唆している。また、昨日、先週からネットロングのトレーダー数は、それぞれ9.81%、29.32%上昇している。このことを考えると、原油価格は下落する可能性がある。
IG顧客センチメント:原油




資料:IG顧客センチメント
原油価格のテクニカル分析
下落トレンドの始まりを示唆する「陰の包み足」が示現している。RSIは原油の弱気モメンタムを示唆する50以下である。原油価格の下押し圧力である各国中銀の金融引き締めスタンスは、当面継続することが見込まれる中、水平サポートライン67ドルでサポート(終値ベース)されるかに注目。下方ブレイクした場合、3月以来の65ドル割れが視野に入る。
一方、67ドルでサポート(終値ベース)され、最近のレジスタンスである50日指数移動平均線(現在71.94ドル)まで回復した場合、下落トレンドから反転パターンである逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)が形成され、原油価格の低迷が終了した可能性が高まる。その場合、水平レジスタンス73.21ドルをトライし、上抜けた場合、上昇トレンドが鮮明化する。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著