米国債務上限、バイデン、マッカーシー、WTI原油、ロシア、サウジアラビア、OPECプラス―トーキングポイント



米国債務上限引き上げで、バイデン米国大統領とマッカーシー米国下院議長は基本合意に達した。議会での可決は依然として不透明感が残るものの、投資家のリスクセンチメントの重石となっていた債務問題に対する懸念後退は、リスク資産の一つである原油価格の上昇要因となろう。
6月4日にOPECプラス会合を控える中、原油の追加減産に対してロシアとサウジアラビアは正反対の立場を示しており、対立が表面化している。追加減産に至った場合、4月の追加減産決定時のように原油価格が大幅上昇する可能性がある。原油価格は低迷を続けているが、今後の見通しは?詳しく見てみたい。
原油価格のテクニカル分析:明るい兆し
WTI原油価格の4時間足チャートで、9,20,50期間指数移動平均線を上抜け、上昇圧力が強まっている。RSIも上昇トレンドを示唆する50超えに転換している。MACD(移動平均収束拡散手法)ラインはシグナルラインを下回っているものの、上昇トレンドを示唆する上抜け寸前である。
WTI原油価格4時間足チャート




資料:Trading View
日足チャートで、中立パターンであるシンメトリカルトライアングル(対称三角形)パターンを形成している。パターンの上限かつ最近のレジスタンスになっている50日指数移動平均線を上方ブレイクすると、上昇トレンドへの転換が鮮明になる。パターンを上抜け上昇トレンドが鮮明になった場合、水平レジスタンスである76.72ドルへの上昇を見込む。更に上昇の勢いが衰えなかった場合、4月中旬以来の80ドル台が視野に入る。一方、米国議会で債務上限引き上げが難航した場合、心理的節目である70ドル、更に下落トレンドが鮮明になった場合、米エネルギー省から戦略石油備蓄(SPR)補充のための原油購入観測が高まる67ドルまで下落する可能性がある。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著