WTI原油、原油在庫、リグ、OPECプラス、減産、テクニカル分析―トーキングポイント



EIAより米国原油在庫に関する統計が発表された。年初来で最も大幅な減少である。週によってばらつきはあるものの、原油在庫の減少トレンドが続いている。原油在庫の減少は、減少した在庫分を補充するために原油を購入することに繋がるため、原油価格の上昇圧力となる。

資料:Trading Economics
原油価格の低迷を受け、原油採掘による利益が減少していることから、世界の原油を採りだすための装置、採掘リグの稼働数が減少している。リグ稼働数の減少は今後の原油供給が縮小する要因となる。原油価格が減少することは原油価格の上昇圧力となる。

資料:Trading Economics
需給の面では、原油価格上昇の兆候が出ている。また、6月初めのOPECプラス会合を控え、サウジアラビアのエネルギー大臣は追加減産の可能性に言及している。今年の4月に追加減算を実施した際には、70台半ばで推移していた原油価格が80ドルを超えて急上昇した。OPECプラス会合にて追加減産が再度決定された場合、原油価格が4月同様、急騰する可能性があるが、今後の原油価格の見通しは?原油価格の低迷は続くのか?それとも上昇に転じるのか?
原油価格見通し:需給引き締まり、追加減産の可能性に加え、テクニカル面は?



4時間足チャートで、中立パターンであるシンメトリカルトライアングル(対称三角形)を上抜け、上昇トレンドの兆候がある。加えて、9,20,50期間指数移動平均線は上向きであり、原油価格の上昇トレンドを示唆している。また、上値を抑えてきた200期間指数移動平均線を上抜け、一段の上昇圧力を示している。需給も引き締まりつつあり、OPECプラス会合による追加減産の可能性もある中、原油価格の上昇を見込む。水平レジスタンスである76.72ドルへの上昇が視野に入る。上昇の勢いが衰えなかった場合、心理的節目である80ドルへ上昇する可能性がある。下落リスクとしては米国債務上限問題や金融不安が上げられる。これらに対する懸念が高まった際にはリスクオフの流れが強まり、リスク資産の一つである原油価格の下落圧力になろう。その際は、米国政府の戦略的石油備蓄の拡充のための購入の可能性が高まり、かつ水平サポートラインである70ドルまで下落する可能性がある。
原油価格4時間足チャート

資料:Trading View



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著