NYダウは過去最高の13連騰に迫っているが、更なる上昇余地はあるのか?過去にNYダウが連騰した後のパフォーマンスについて確認する。



サマリー
- 好業績がNYダウをサポート
- NYダウは12連騰後も過去に上昇してきた
- ただし、投資家の楽観姿勢に注意
好業績がNYダウをサポート
好業績への期待感を受け、NYダウが12営業日連続で上昇した。2017年以来である。NYダウ構成企業の内、既に4-6月期決算を発表した企業の約70%が売上高・一株当たり利益共に事前予想を上回っている。FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げの逆風下、堅調な決算発表が続いている。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。事前予想はBloomberg集計値。
連騰後もNYダウは良好なパフォーマンスを記録
NYダウが13連騰した場合、1987年1月に並ぶ過去最高の連騰記録である。過去NYダウが12連騰したのは今回を含めて6回ある(その内1回は13連騰)。過去に12連騰した日から3か月後(60営業日後)及び6か月後(120営業日後)のNYダウのリターンは下記の通りである。3カ月後のリターンは5回の内、2017年2月を除きプラスのリターンを記録している。6か月後のリターンは5回の内、1929年7月を除きプラスのリターンを記録している。
NYダウ連騰後のパフォーマンス

資料:BloombergよりDailyFXが作成。
急上昇を受け、過熱感が出ていること、また投資家が米国株の先行きに対して楽観的になっていることから、短期的には調整の可能性がある。しかしながら、FRBの利上げ逆風下でも堅調な業績を示しており、FRBの利上げ終了が近付く中、短期的な調整にとどまり、過去同様今後も力強いパフォーマンスを記録することを見込む。
NYダウは、2022年10月から2023年3月までの値動きに基づいたフィボナッチエクステンション78.6%水準の36,129レベルが視野に入る。更に、上昇の勢いが衰えなかった場合、史上最高値36,935レベル更新をトライしよう。
一方、NYダウの調整局面では、2022年12月高値であった34,712レベルへ下落する可能性がある。
NYダウ日足チャート

資料:Trading View
投資家の楽観姿勢には注意
S&P500のオプションから算出される投資家心理を反映する指数、ボラティリティインデックス(VIX指数)は、3月の米国金融不安の際に一度上昇(投資家の不安心理増大)したものの、その後低下基調である。投資家が米国株式に対して楽観的になっていることを示唆している。そのため、ネガティブイベントに対して大きく反応する可能性があり、VIXの動向、そしてNYダウやS&P500への影響に注意が必要である。

資料:BloombergよりDailyFXが作成。



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著