NYダウ、S&P500、米国景気、IGCS、テクニカル分析、金融政策、アメリカ株、米国株―トーキングポイント



足元の米国経済は底堅く推移しているものの、景気の先行きや金融政策に対する不透明感、金融不安などを背景に個人トレーダーは持ち高を調整し続けている。これはIG顧客センチメント(ICGS)を見れば分かる。ICGSは時に逆張り指標として機能することがある、ICGSからは、最近、NYダウ、S&P500に対して強気のシグナルが出されている。テクニカル面の動向とあわせて詳しく見てみたい。
力強い米国経済
パウエル米FRB(米連邦準備制度理事会、中銀)は利上げ停止の可能性を改めて示唆した。そうした中、米国経済は底堅く推移している。アトランタ連銀が公表している即時GDP(GDPナウ)も米国の経済成長が続いていることを示している。金融政策を巡る不透明感や今までの利上げの影響を受けた金融不安等懸念材料はあるものの、米国経済が底堅く推移していることは、米国株にとってプラス材料である。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成
NYダウのセンチメント見通し:強気
IGCSによると、ダウ平均を取引する個人トレーダーの約47%がネットロング(NYダウを買い持ち、NYダウに対して強気であることを示唆するトレーダーの割合)にしている。半分以上の持ち高はネットショートに傾いているため、NYダウは上昇する可能性を示唆している。また、昨日、先週からネットロングのトレーダー数は、それぞれ6.41%、15.71%低下している。このことを考えると、NYダウは上昇する可能性がある。
IG顧客センチメント:NYダウ




資料:IG顧客センチメント
NYダウテクニカル分析:中立
週足チャートで、9期間指数移動平均線はほぼ横ばいであり、明確なトレンドを示していない。週足チャートでは、上昇パターンを示唆するアセンディングトライアングルパターン内で推移している。パターンの上限34,712ドルを明確に上抜けた場合、上昇トレンドの開始を示唆する。底堅い米国景気動向やセンチメントはNYダウ上昇の可能性を示唆するものの、当面はアセンディングトライアングルパターン内で推移することを見込み、NYダウに対する見通しは中立である。パターンの上限:34,712ドルを上抜けると強気に見通しを転換する可能性が高まる。一方、金融不安や米国債務上限問題に対する懸念が高まった際は、水平サポートラインである32,580ドルへ下落する可能性がある。
NYダウ週足チャート

資料:Trading View
S&P500のセンチメント見通し:強気
IGCSによると、S&P500を取引する個人トレーダーの約33%がネットロング(S&P500を買い持ち)にしている。半分以上の持ち高はネットショートに傾いているため、S&P500は上昇する可能性を示唆している。また、ネットロングのトレーダー数は昨日、先週と比べ、それぞれ1.33%、19.57%低下している。個人トレーダーは一段とネットロングの持ち高を削減している。このことを考えると、価格はS&P500は上昇する可能性がある。
IG顧客センチメント:S&P500

資料:IG顧客センチメント
S&P500のテクニカル分析:一段高が視野
週足チャートで、20期間指数移動平均線が50期間移動平均線を上抜け、9,20,75,200期間指数移動平均線が上向き、かつ上から順に並ぶ強気の「パーフェクトオーダー」が成立した。また、昨年夏以降の水平レジスタンスであった4195.44ドルを上抜けており、上昇トレンドが鮮明化する兆しがある(レジスタンス突破後、リアルタイムでは一旦調整しレジスタンス以下の水準で推移)。加えて、昨年9月以降連続する高値と安値が切り上がっており、上昇圧力が強いことを示唆している。センチメント、テクニカル面や米国経済の底堅さを勘案すると、一段高が視野に入る。昨年8月の高値4,325.88ドルが視野に入る。一方、金融不安や米国債務上限問題に対する懸念が高まった際は、水平サポートラインである4,025ドルへ下落する可能性がある。
S&P500週足チャート




資料:Trading View
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著