天然ガス、原油、強気の乖離、ゴールデンクロス、商品-トーキングポイント



欧州で夏場に向けた天然ガスの需要増が意識され、天然ガス価格が急上昇している。天然ガス確保に向けたグローバルでの競争激化もあり供給リスクが意識されている。また、米国天然ガス在庫の増加が市場予想を下回ったことも、需給の引き締まりに伴い、天然ガス価格上昇に寄与している。
足元上昇しているものの、天然ガス価格は昨年以降の急落以降の安値圏で推移しているが、天然ガス価格について上昇シグナルが点灯している。詳しく見てみたい。
天然ガス先物投資家ポジション:強気
天然ガス先物市場では、ヘッジファンド等(投機筋)が3月にかけてショートポジションが歴史的な水準まで積み上がった(価格の下落要因)。4月以降、徐々にショートポジションが解消(天然ガス価格の上昇要因)、ネットショートポジションが縮小(天然ガス価格の上昇要因)しつつある。一部投機筋は、徐々に弱気見通しから中立、もしくは強気に見通しを転換しつつあることを示唆している。
ただし、依然として高水準のネットショート(ロング―ショートポジション)であり、一段のショートポジションの削減の余地がある。このことを考えると、天然ガス価格は上昇する可能性がある。

資料:BloombergよりCFTCのデータを用いてDailyFX.comが作成
原油価格との関係:天然ガス価格の下落余地は限定的?
エネルギー源である原油と天然ガスは互いに代替可能であることから、両者の価格は連動して動く傾向がある。しかしながら、昨年末以降、WTI原油価格は概ね65~85ドルのレンジで推移している一方、天然ガス価格は急落、4月以降は安値圏で推移している。このことは天然ガスの相対的な割安感が高まっていることを示しており、天然ガス価格が原油価格との価格差を埋めるために上昇する可能性がある。
天然ガスと原油先物価格日足チャート

資料:Trading View



天然ガス価格見通し(NG1):下落トレンドの終焉?
天然ガス価格の日足チャートを確認すると、テクニカル面で強気のシグナルが点灯している。
- 天然価格とRSIの間で強気の「ダイバージェンス」が示現
- 9日指数移動平均線が20、50日指数移動平均線を上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が成立
- 4月中旬以降、連続した高値と安値が切り上がっており、天然ガス価格の上昇圧力を示唆
先物ポジション動向や原油価格との関係に加え、テクニカル面でも強気のシグナルが点灯していることから、天然ガス価格の一段高を見込む。天然ガス価格は5月中旬の高値2.685ドル(100万BTU当たり)へのトライを見込む。上抜けると、4月中旬以降の高値・安値切り上がりが維持され、一段と上昇トレンドが鮮明になる。
サポートとして、2.250ドルを想定。下回ると4月中旬以降の緩やかな上昇トレンドが終了した可能性が高まる。
天然ガス価格日足チャート

資料:Trading View
トレードに役立つメール配信サービス
DailyFXからタイムリーで国内外のマーケット情報を受け取ることができます。
新たなレポートの配信等はtwitterアカウント@DailyFXJapanでも確認できます。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著