オーストラリアにある世界有数の液化天然ガス(LNG)施設でスト実施の可能性が高まっている。世界全体のLNG生産量の5%以上を占める施設である。天然ガスの供給に大きく影響を与えるが、天然ガス価格の見通しとは



サマリー
- 世界有数の天然ガス施設でストの可能性高まる
- 天然ガス価格は大きく上昇
- 天然ガス価格の見通し
豪LNG施設でストライキの可能性高まる
米シェブロンのオーストラリアの液化天然ガス(LNG)施設の労働組合(オフショア・アライアンス)と会社側は労働条件に関する交渉を重ねているものの合意にいたっていない。
労働組合は、主要LNG施設2か所で、8日午後2時より部分的なストライキを開始することを表明した。それまでに労働組合とシェブロンの間で、労働条件の合意に達する可能性は低いとの見方が強まり、天然ガス価格(NG1)は前日比で3%近く上昇した。8日からのストライキは部分的なものにとどまり、更に労使協議が決裂した場合、月後半からは2週間にわたって全面的なストが実施される可能性がある。

資料:Trading Economics
ストライキが実施されるのは、シェブロンの「ゴーゴン」と「ウィートストーン」の2か所のLNG施設で、世界全体のLNG生産量の5%以上を占める。世界有数のLNG施設であることから、ストライキの動向によって、天然ガスの供給が変化し、天然ガス価格が上下双方に大きく動くことが想定される。



天然ガス価格見通し
天然ガス価格(NG1)は、2.455―2.793レベル(MMBtu当たり)のレンジで推移している。
天然ガスの日足チャートで、RSIは50前後で推移し、9,20,50日指数移動平均線も概ね横ばいであり、テクニカル面では中立である。
テクニカル面では中立であるものの、豪州のLNG施設で労働ストライキが実施され、更にストライキが長引くとの観測が高まった場合、レンジ上限2.793レベルへ向かって上昇しよう。上方ブレイクすると、天然ガス価格の7月以降のレンジ相場が終了し、上昇トレンドへの転換が視野に入る。
一方、労働組合とシェブロンとの間で合意にいたった場合、天然ガスの供給リスク後退との見方から、天然ガス価格は下落しよう。その場合、レンジ下限2.455レベルでサポートされるかに注目。下方ブレイクすると、天然ガス価格は下落トレンドへ転換した可能性が高まる。
天然ガス価格(NG1)日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著