日本株、日経平均株価、インフレ、日本銀行、金融政策、陰の包み足―トーキングポイント



インフレ鈍化も基調圧力強い?
全国消費者物価指数(インフレ率)が公表された。ヘッドライン及びコアインフレ率の前年と比べた伸びは減速したものの、食料・エネルギーを除いたベースでは4.3%と加速し、1981年以来の高水準を記録した。

資料:DailyFX.com経済指標カレンダー
インフレの大半は食料品によるものであり、時間の経過と共に食料品によるインフレ圧力は減衰していくことが見込まれる。一方、日銀の金融緩和スタンス等を受けた最近の円安進行は輸入物価の上昇に繋がっている。相反する要因がインフレに作用しており、先々のインフレ鈍化のスピード、進展に注視する必要がある。
本日のインフレ高止まりを受け、為替は円高、日本株安が進展している。円高・株安は最近の急速な円安・株高の調整の側面もあろう。
日銀の金融政策は
植田日銀総裁は、先日の金融政策決定会合でも当面の金融緩和維持を示唆した。一方、イールドカーブコントロール政策(YCC政策)は事前の情報共有・通知が難しい旨の言及をしており、インフレ動向によってYCC政策を修正する可能性がある。特に、7月は日銀のインフレ見通しを改定、新しい見通し(展望レポート)が公表される。
次回7月21日公表予定の全国消費者物価指数でもインフレ高止まりを示唆した場合、7月日銀金融政策決定会合時の展望レポートでのインフレ見通しの上方修正、YCC政策修正観測が高まり、日本株の下落要因になる可能性がある。一方、インフレの鈍化を示した場合、当面の金融緩和維持が見込まれ、日本株の上昇要因になる可能性がある。
日経平均株価見通し
6月20日のレポートで示した通り、2008年から2021年にかけての値動きに基づいたフィボナッチエクステンション38.2%水準である33,743円を一時上抜けたものの、その後上昇トレンドの反転を示唆する「陰の包み足」が示現し、反落している。最近の急ピッチの上昇を受けた調整の側面もあろう。
ローソク足が9日指数移動平均線を下抜け、調整色が一段と強まっている。中長期的に日本株の上昇を見込む一方、調整が継続する可能性を勘案し、引き続き日本株に中立の見通しとする。20日指数移動平均線(現在32,453円)を下抜ける可能性がある。下抜けると、年初来の日本株上昇トレンドがひとまず終了したことを示唆しよう。
20日指数移動平均線でサポートされた場合、上昇トレンドの継続を示唆し、日本株に対して見通しを強気に再度転換する可能性が高まる。その場合、日経平均株価は、フィボナッチエクステンション38.2%水準である33,743円を再度トライしよう。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View



新たなレポートの配信等はtwitterアカウント@DailyFXJapanでも確認できます。
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著