日本株、日経平均株価、S&P500、米国株、日本銀行―トーキングポイント



米国インフレ鈍化を受け、米FRBによる利上げ局面終了が近いとの見方から、S&P500指数をはじめとした米国株が上昇、年初来高値を更新している。FRBによる利上げは、企業の資金調達の悪化や消費者の消費意欲を低下させ、企業業績に悪影響を与えることから、株価の下押し圧力となる傾向がある。FRBによる利上げ終了が近いことは米国株にとってサポート要因である。
FRBの金融政策は世界の金融環境に強い影響を持つ。FRBが金融引き締め政策を実施した場合、世界的な金融環境の悪化を通じて米国株以外の株式にも下押し圧力となる。また、米国株は世界中の投資家が注目しており、米国株の動向は日本株を含めた世界中の株価に大きな影響を与えうる。これは、S&P500と日経平均株価の動向を見ると分かる。過去S&P500指数が上昇すると、日経平均株価は上昇する傾向がある。
S&P500 と日経平均株価

資料:Trading View
日本株は、急速な円高進行などを背景に下落していたものの、日経平均株価は50日指数移動平均線でサポートされている。来週の日本銀行の金融政策決定会合は、日本株の波乱要因となりうる。しかしながら、FRBの利上げ終了が近いことに加え、テクニカル面でもS&P500の強気シグナルが点灯しており、S&P500の上昇が日経平均株価をはじめとした日本株をサポートすることを見込む。詳しく見てみたい。
S&P500の見通し
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -3% | -1% | -3% |
週次 | 9% | -9% | 0% |
連続する高値と安値が切り上がっており、S&P500の上昇圧力が強いことを示している(ダウ理論)。また、昨年4月高値4,520ドルの上方ブレイクに成功し、上昇圧力が強まっている。
テクニカル面で強気シグナルが点灯する中、過去数年の米国株の下押し材料であったFRBによる利上げ局面終了が視野に入る中、昨年3月高値4,637ドルをトライしよう。
一方、下値の目途として、20日指数移動平均線(現在4,434ドル)でサポートされるかに注目。サポートされた場合、相場の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。
S&P500日足チャート

資料:Trading View
日本株見通し
日経平均株価(先物)は50日指数移動平均線でサポートされ反転している。RSIも強気のモメンタムを示唆する50超えに再度上昇している。一方、MACDラインは下向きかつ、シグナルラインを下回っており、下落トレンドを示唆している。
テクニカル面では中立であるものの、S&P500の上昇を見込む中、日経平均株価の下値余地は限定的と見る。心理的節目でありレジスタンス転換している可能性がある33,000円を上方ブレイクした場合、上昇トレンド再開が視野に入る。その場合、日経平均株価は、2008年から2021年にかけての値動きに基づいたフィボナッチエクステンション38.2%水準である33,743円を再度トライしよう。
一方、日経平均株価(先物)の下値の目途として、50日指数移動平均線(現在:31,826円)で引き続きサポートされるかに注目。下抜けた場合、4月以来の日本株急上昇トレンドが終了、31,000円が視野に入る。
日経平均株価先物日足チャート

資料:Trading View

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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著