金、Gold、インフレ、PPI、ブラード総裁―トーキングポイント



インフレ鈍化&タカ派総裁辞任が金をサポート
米国消費者物価指数に続き、生産者物価指数(PPI)も低い伸びとなり、FRBによる利上げ局面終了が近いとの見方を強める内容であった。生産者物価は遅れて消費者物価に反映される傾向がある。PPIの低い伸びは、米国消費者物価が一段と低下する可能性を示唆している。
インフレ鈍化に加え、利上げ推進派で知られている米セントルイス連銀のブラード総裁が辞任することが明らかになったことも、FRBの利上げスタンスが弱まるとの見方から、米国金利低下に寄与、金価格が上昇している。
金利が付かない金は、米国金利上昇(低下)局面で相対的な魅力度が減少(増加)し、金価格が下落(上昇)する傾向がある。米国利上げ停止が近付いていることは、金価格にとってサポート材料である。

資料:Trading Economics
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 7% | -8% | 3% |
週次 | 2% | -15% | -3% |
金価格見通し
金価格は、米国金利の低下を受け上昇、1,935ドル(1トロイオンス)のレジスタンスを上方ブレイクし、上昇圧力が強まっている。また、9日指数移動平均線が20日指数移動平均線を上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が3月以来初めて示現している。3月の「ゴールデンクロス」示現後、金価格は史上最高値を更新した。RSIも50を超え、金の上昇トレンドへの転換を示唆している。テクニカル面では強気のシグナルが点灯しつつある。
しかしながら、金価格は本格的な上昇トレンドに突入した可能性がある一方、5月中旬~6月中旬の1,935ドル~1,985ドルのレンジ相場に回帰しただけの可能性がある。強固な水平レジスタンスである1,985ドルを上方ブレイクすると、上昇トレンドの再開が明確になる。その場合、FRBの利上げ局面終了が近付く中、2,000ドル台回復、更に上昇の勢いが衰えなかった場合、史上最高値2,082ドルが視野に入る。
一方、下落した場合、1,935ドルでサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、最近の上昇は一時的との見方を強め、1,900ドルへ下落する可能性がある。
金価格(XAU/USD)日足チャート

資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著