金、Gold、雇用統計、債務上限、IGCS、テクニカル―トーキングポイント
- 債務上限問題に加え、米国雇用統計の結果に注目
- 個人トレーダーのセンチメントは中立
- このような中、テクニカル面の動きは?



米国債務上限問題はバイデン米大統領とマッカーシー下院議長の間で基本合意が成立し、一時に比べ懸念が後退した。しかしながら、米国債務上限の2025年までの効力停止が成立するかは不確実性が残っている。また、2日に米国雇用統計が公表される。FRBの金融政策を占う上で重要である。雇用市場の減速が示された場合、FRBの金融引き締め観測が後退、金価格の上昇要因になる可能性がある。このような中、個人トレーダーは金価格に対して強気である。これは、IG顧客センチメント(IGCS)を見れば分かる。IGCSは逆張り指標として機能することがある。ICGSからは最近、強弱入り混じるシグナルが示されている。詳しく見てみたい。
金の個人トレーダー動向:中立
IGCSによると、金を取引する個人トレーダーの約66%がネットロング(金を買い持ち)にしている。ほとんどの持ち高がネットロングに傾いているため、価格は低下する可能性を示唆している。しかし、昨日から、ネットロングのポジションは7.4%低下している。また、ネットロングの割合は過去と比べて高水準であり、一段のネットロング割合が増加する余地は少ないと思われる。このことは価格が上昇する可能性を示唆しており、IGCSの動向は今後の金価格に対して中立である。
IG顧客センチメント:金




資料:IG顧客センチメントより抜粋
金のヘッジファンドポジション動向:強気
金先物ポジションは、ヘッジファンド等の投機筋が金に対して強気になりつつあることを示唆している。一時、ネットロングのポジションは2019年来の低水準となっていたが、増加(ショートポジションの削減、ロングポジションの積み増し)に転じている。ネットロングのポジションは過去と比べて高い水準ではなく、一段のロングポジションの積み増し余地、金価格の上昇要因になる可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成。
金価格(XAU/USD)のテクニカル分析:サポートラインは強固
金価格(XAU/USD)は日足チャートにて、3月以降レンジ相場が継続している。最近の下落においてもレンジ下限の1,935ドルでサポートされ、サポートラインとして強固であることを示している。
米国雇用統計が労働市場の減速を示し、FRBによる金融引き締め観測が後退、米国金利が低下した場合、金価格の上昇要因になろう。金利が付かない金は、米国金利低下(上昇)局面で相対的な魅力度が増加(減少)し、金価格が上昇(下落)する傾向がある。その場合、最近のレジスタンスになっている現在1,971ドルにある50日指数移動平均線を上抜けるかに注目。上抜けた場合、2,000ドルが視野に入る。
一方、雇用市場の引き締まりが示され一段のFRBの金融引き締め観測が高まった場合、金価格の下落要因となり、水平サポートラインである1,935ドルへの下落する可能性がある。サポートラインを下方ブレイクした場合、心理的節目である1,900ドルまでの下落が視野に入る。
金価格(XAU/USD)日足チャート




資料:Trading View
-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著