金、Gold、雇用統計、FRB、FOMC、テクニカル、IG顧客センチメント―トーキングポイント



米国雇用統計が2日に発表。失業率は3.7%に上昇、非農業部門雇用者数は33.9万人増加、平均時給の伸び(前年比)は4.3%に鈍化し、強弱入り混じる結果であった。米国金利は上昇し、金価格(1トロイオンス当たり、XAU/USD)は下落したものの、水平サポートライン1,935ドルを維持し、同サポートラインが機能していることを確認できた。
米国雇用統計の結果

米国金利に関し、FRB高官は、6月金融政策決定会合(FOMC)にて利上げの一旦停止を支持する発言が相次いでいる。利上げ停止は米国金利の大幅上昇の可能性を低下させよう。米国金利が上昇しにくいことは、金利と逆の動きをする傾向のある金のサポート材料である。金利が付かない金は、米国金利上昇(低下)局面で相対的な魅力度が減少(増加)し、金価格が下落(上昇)する傾向がある。
このような中、金価格に対する個人トレーダーのセンチメントはまちまちである。これは、IGクライアントセンチメント(IGCS)を見れば分かる。IGCSは時に逆張り指標として機能することがある。詳しく見てみたい。
金のセンチメント見通し:中立
IGCSによると、金を取引する個人トレーダーの約70%がネットロング(金を買い持ち)にしている。ほとんどの持ち高はまだネットロングに傾いているため、金価格が下落する可能性を示唆している。金のネットロングの割合は過去と比べて高い水準であるものの、ネットロングのトレーダー数は昨日から1.61%上昇している一方、先週からは4.76%低下しており、まちまちな動きである。このことを考えると、センチメントは金価格に中立である。
IG顧客センチメント:金




資料:IG顧客センチメント
金価格(XAU/USD)のテクニカル分析:レンジ相場継続?
日足チャートで、金価格は20、50日指数移動平均線の上方ブレイクに失敗した。また、RSIも上昇トレンドへの転換を示唆する50超えが成立せず、水平レジスタンスである1,985ドルが強固であることを示している。一方、米国金利上昇局面においても1,935ドルは維持されており、水平サポートラインが強固であることを示唆している。また、FRB高官からの6月FOMC(連邦公開市場委員会)で利上げを一旦スキップする発言が相次いでいることは、米国金利の上昇を抑制し、金価格のサポート要因である。サポート、レジスタンス共に強固である中、FOMCを来週に控え、5月中旬以降のレンジ1,935ドル~1,985ドルで推移することを見込む。水平レジスタンスである1,985ドルを明確に超えると、上昇トレンドへの転換を示唆し、2,000ドル回復が視野に入る。一方、下落の目処として、水平サポートラインである1,935ドルが挙げられる。同ラインを下方ブレイクすると、下落トレンドへの転換が示唆され、心理的節目である1,900ドルが視野に入る。
金価格(XAU/USD)日足チャート




資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著