Gold、Bitcoin、半減期―トーキングポイント
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来年初頭にビットコインは半減期を迎える
ビットコイン価格は一時30,000ドルを突破後、反落、現在は28,000ドル台で推移している。「ビットコイン価格見通し:弱気トレンドは衰えつつある」で示したように、弱気のシグナルは衰えつつあるものの、5月FOMCに向けて米国金利が上昇、金利の付かない金やビットコインの逆風となる可能性もあり、中立の見通しとしている。
ビットコイン価格は、短期的に中立の見通しであるものの、中長期的には一段と上昇する可能性がある。テクニカル面では、逆ヘッドアンドショルダーを形成しており、40,000ドルへ上昇する可能性を示唆している。
ビットコイン週足チャート

資料:Trading View
2024年初頭(現在のところ3月~5月の予定)にビットコインは半減期を迎える。半減期を迎えると、ビットコインのマイナー(採掘者)に与えられる報酬が半減される。マイナーはマイニング(マイニングによってビットコインの発行量は減少)を実施してビットコインを報酬として得るが、報酬が半分になるため、マイニングを実施するインセンティブが減少、ビットコインの発行・供給量が減少する。供給量が減少することで、需要と供給のバランスが崩れ、ビットコインの希少性が高まり、ビットコイン価格が上昇する傾向がある。
過去ビットコインの半減期は3回あり、2012年、2016年、2020年にあった。最初の2012年では、半減期の直近月末2012年10月末に1BTC=10.89ドルであったものが、1年後の2013年10月末には1BTC=202.47ドルに上昇した。
2012年の半減期におけるパフォーマンス

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成
次の2016年では、半減期の直近月末2016年6月末に1BTC=665.27ドルであったものが、1年後の2017年6月末には1BTC=2502.5ドルに上昇した。
2016年の半減期におけるパフォーマンス

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成
直近の2020年では、半減期の直近月末2020年4月末に1BTC=8826.56ドルであったものが、1年後の2021年4月末には1BTC=56,814.44ドルに上昇した。
2020年の半減期におけるパフォーマンス

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成
平均約860%の上昇である。ただし、年によって上昇率は異なっている。また、上昇するタイミングも半減期を迎えた直後ではなく、一定程度遅れて上昇する傾向がある。また、大きく乱高下している年もある。伝統的な資産と異なり、ビットコインを含めた暗号資産は、各国当局による規制、暗号資産業者の不正等、様々な不確実性がある。2024年初頭の半減期を迎えて過去と同じように上昇するかは不透明であるものの、供給量の減少は、ビットコイン価格の中長期的な上昇要因と一つになろう。
ビットコインは大きく上昇する可能性があるものの、ビットコイン単独の保有は、固有のイベントリスクが高く、また価格の変動も大きい。ビットコインと一緒に持つ、もしくはビットコインの代わりに持つ資産の候補として金が考えられる。ビットコイン(米ドル建)と金の値動きの連動性(相関)が高まっている。ビットコインや金(及び銀)は有限の資産であり、国が発行しているものではないため無国籍通貨とも言える存在であり、地政学リスクや国の債務、米ドル等の既存通貨に対する懸念が高まった際に安全資産のように振る舞い、ビットコインや金の価格は連動して上昇する傾向がある。そのため、ビットコインを買い持ちしている場合、金を売り持ちにすることで値動きが相殺され、全体として安定したリターンを獲得できる可能性がある。また、ビットコインは各国当局の規制や暗号資産業者の不正等のリスクがあり、大きく下落する傾向もある。そのため、相関が高まっている金をビットコインの代わりに保有することで、ビットコインと一定程度連動したパフォーマンスを享受しつつ、ビットコインに対する規制や暗号資産業者の不正のような暗号資産特有の下落イベントは回避できる可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成

資料:Trading Economics。年初来。米ドル建て。起点を100として指数化。



-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著