※2023年7月7日11時09分更新
金、銀、個人トレーダーのポジション状況、テクニカル分析 – IGCSによるコモディティ市場アップデート
- 金・銀相場は5月以降、下落トレンドにある
- 個人トレーダーは買い持ちを増やすことで対応している
- これにより、金/ドル、銀/ドルの弱気シグナルは強まるのか?



金と銀の相場は5月に天井を付けた後、長期的な下落トレンドにある。これを受け、個人トレーダーは金/ドルと銀/ドルの買い持ちポジションを徐々に増やしている。その状況はIGクライアントセンチメント(IGCS)を見れば明らかである。IGCSは通常、逆張り指標として機能し、特にトレンド相場ではその傾向が強まる。このことを考慮すると、金と銀の相場はさらに下落するのだろうか?
金相場のセンチメント見通し - 弱気
IGCSによると、金を取引する個人トレーダーの約76%がネットロング(金を買い持ち)にしている。大半のトレーダーが買い持ちとなっているため、価格はさらに下落する可能性がある。ショートポジションを昨日と先週で比較すると、13.02%、14.63%それぞれ減少している。 このように、現在のセンチメント(ポジション状況)および最近の変動(日次、週次でのポジションの変化)を見ると、金相場の逆張り取引バイアスはさらに弱気に傾いていると考えられる。
金/ドル 日足チャート
資料:TradingView
日足チャートでは、金相場は5月以降、短期的な下落トレンドにある。金/ドルは6月に、昨年11月から続く上昇サポートラインの下方ブレイクが確認された。これにより、テクニカルバイアスはさらに弱気に傾いた。ただ、それ以来、価格はフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1,903付近で安定している。この水準の下方ブレイクアウトが確認されれば、中間点1,848が意識されるだろう。一方、上昇局面では、1,936.9の変曲点が目先のレジスタンスとなりそうだ。
銀相場のセンチメント見通し - 弱気
IGCSによると、銀を取引する個人トレーダーの約85%がネットロング(銀を買い持ち)にしている。大半が買い持ちであるため、この先も価格が下がる可能性を示唆している。ショートポジションを昨日と先週で比較すると、12.89%、60.60%それぞれ減少している。このように、現在のセンチメント(ポジション状況)および最近の変動(日次、週次でのポジションの変化)を見ると、銀相場の逆張り取引バイアスはさらに弱気に傾いていると考えられる。
銀/ドル 日足チャート
資料:TradingView
日足チャートを見ると、銀相場も引き続き下落トレンドにある。金相場との違いは、銀/ドルは昨年9月から続く上昇サポートラインを支えに、長期的に上昇バイアスを維持している点である。とはいえ、5月からの下降トレンドラインがレジスタンスとなっており、短期的には下落トレンドが続いている。当面のサポートは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準22.29である。この水準を割り込むと、右肩上がりのサポートラインが視野に入る。一方、上昇局面では、右肩下がりのレジスタンスを上方ブレイクすると、38.2%の水準23.75が意識されるだろう。



--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。