英ポンド/ドル、英ポンド - テクニカル分析見通し
- 最近、上昇していた英ポンド/ドルは、重要なレジスタンス水準で失速している
- 同時に、英ポンド/ドルは、まだどのサポートもブレイクしていない
- 今後の見通しと注目すべき指標とは?



英ポンド/ドル:短期テクニカル分析見通し - 中立
今月の英ポンドは上昇しているものの、重要なレジスタンスを試すなど、上値が重くなり始めており、短期的にレンジ相場となる可能性が出てきている。より広範にわたる底固めの展開もまだ続いている。
240分足チャートで見ると、英ポンド/ドルは10月上旬に上昇が始まって以来、200期間移動平均線の手強いレジスタンスに上値を抑えられている(下図参照)。さらに、10月上旬当初はかなり急激に上昇したにもかかわらず、相対力指数(RSI)で見るモメンタムに高値を更新する勢いはなかった。過去2年間、同様の相場上昇局面では、より期間の長い移動平均線付近でブレーキがかかり、RSIは70を下回っている。
英ポンド/ドル 4時間足チャート

資料:TradingView
さらに、週足チャートでは、9月下旬の高値1.1450(および10週移動平均線)に位置するレジスタンス付近の上影陰線は、日中に付けた高値を維持できなかったことを反映しており、相場がまだ強気のブレイクに対する準備ができていないことを示している。過去の上昇局面では、移動平均線を決定的に上回ることに成功していない。週足チャートで見たRSIは、これまでの押し目買いによる上昇局面と同じ動きとなっている。
英ポンド/ドル 週足チャート

資料:TradingView
以上のことから、今月の英ポンド/ドルの上昇は、それだけで最悪期を脱したという結論を出すには不十分であり、実際、過去を振り返れば、この上昇はいわゆる「デッドキャットバウンス(株価急落が続いている局面で、一時的に小幅ながら反発すること)」であると認識することができる。
短期的に見ると、3つのシナリオが考えられる。まず、当面のサポートとなる先週14日の安値1.1150を下回る水準で下抜けした場合、上昇圧力は弱まるだろう。このブレイクをきっかけに、重要なサポートである10月12日の安値1.0925に向けて下降する展開につながるかもしれない。1.0925を上回る水準を維持した場合、今月の相場上昇が単なるデッドキャットバウンスではない可能性が高まる。
英ポンド/ドル 4時間足チャート

資料:TradingView
2つ目のシナリオは、英ポンド/ドルが1.0925のサポートを下回った場合である。この場合、10月の相場上昇がデッドキャットバウンスである確率は高まり、9月安値1.0382に向けて下落するリスクが顕在化する可能性がある。この場合、より広範にわたる底固めの展開は維持されるだろう。持続的な上昇基調となる前には、主要な安値を何度も試す展開となることが多い。テクニカル専門用語では、安値を何度も試す動きは「アキュムレーション」と呼ばれることがあり、これは、機関投資家などが買いの防衛ラインを設定し買い続けている際に起きることがある。
3つ目のシナリオは、英ポンド/ドルが1.0385を決定的に下抜けする場合である。日中や週中だけでなく、1週間あるいは2週間、終値でサポートを下抜けた場合だ。このような場合、新たな均衡水準で落ち着くまでは、底固めの展開は一旦休止することになる。



英ポンド/ドル:中期テクニカル分析見通し - 中立
10月初旬に指摘したように、英ポンド/ドルは、ポジションの状況、センチメント、より長期の時間軸チャートの動向を考慮すると、当面の底値(10月初旬の安値1.0385)まで下落する可能性を排除することはできない。しかし、相場の底値は高値よりも形成に比較的長い時間を要する傾向があるため、(V字型の反発を除いて)どのような底固めの過程でも長期化する可能性がある。
さらに、先週の記事で強調したように、今月の安値に向かって下落や試す展開となる可能性も否定できない。月足チャートでは下押しするモメンタムは弱まっているものの、まだ相場が大きく好転するには至っていない。これらのことから、英ポンド/ドルは最悪期を脱したとは言い難いものの、リスク・リターンの観点から、1.0385を下回るほどの大幅下落を見込むことは、それほど魅力的ではないかもしれない。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著