FXテクニカル分析:ユーロドル
・1.06レベルの攻防とアセンディング・トライアングル
ユーロドルは短期サポートラインを維持し、レジタンスポイント1.06レベルをトライする状況が続いている。見方によっては、アセンディング(上昇)・トライアングルのチャートパターンを形成する過程にあると考えられる。
アメリカの長期債利回り(10年債利回り)が反発基調にあってもユーロドルの下落幅が限定的となっている状況は、短期的なユーロドルの地合いの強さを示唆している。
この点についてはMACDでのゴールデンクロスの示現(一番下の日足チャートを参照 / 次の焦点はプラス圏への浮上)、そして通貨オプション市場のリスクリバーサル(1ヶ月)の動向(6月のFOMC以降ユーロプットの状況が後退していること)も示唆している。
相場の反発ムードが続く中で、ユーロドルが1.06および昨日の上昇を止めたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.0616レベルの突破に成功する場合は、アセンディング・トライアングルのチャートパターンを形成するシグナルとなり得る。
ユーロドルのチャート
TradingView 1時間足(今月8日以降)
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -12% | 12% | -2% |
週次 | -5% | 12% | 3% |
・1.06の攻防で真に注目すべきこと
しかし、ユーロドルが1.06レベルの突破に成功しても、それだけでアセンディング(上昇)・トライアングルのパターン形成と考えるのは早い。
ロシアーウクライナ紛争の長期化で経済により大きなダメージを受けるのは、アメリカ経済よりも欧州経済の方である。また、欧州中央銀行(ECB)が7月以降利上げに踏み切っても、米欧の金融引き締めペースの差は歴然としている。これらの状況を考えるならば、ユーロドルは戻り売りの圧力に直面し続けることが予想される。
アセンディング・トライアングルのパターン形成を判断するためには、ユーロドルが1.06を完全に突破した後、この水準がレジタンスからサポートのポイントへ転換するかどうか?この点を確認する必要がある。
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1.06レベルで「レジタンスからサポートへの転換」が確認される場合は、もう一段の「ユーロ高/米ドル安」を想定したい。
具体的には、76.4%戻し(1.0676レベル)および100.0戻し(1.0773レベル)のトライだけである。
また、サポートからレジスタンスのポイントへ転換した重要ポイント1.08レベルをトライする可能性もあろう(一番下の日足チャートを参照)。
逆にユーロドルが1.06レベルを突破しても、あっけなく反落する展開(昨日のような展開)が続く場合は、短期サポートラインの下方ブレイクと下値トライを警戒したい。
後者のケースでは、フィボナッチ・プロジェクション38.2%(1.0467レベル)および50.0%(1.0368レベル)を視野に戻り売りを警戒したい。今年の5月以降、どちらの水準も相場をサポートした経緯がある。
ユーロドルのチャート
TradingView 日足(今年3月以降)