ECB理事会が終了し、FOMC、日銀会合が近付いている。日米の中央銀行ともに金融政策を巡る不透明感が高まっている。このような中、ユーロ円、そしてユーロドルの今後の見通しとは



サマリー
- ECB理事会、FOMC、日銀会合
- ユーロ円の見通し
- ユーロドルの見通し
ECB理事会
欧州中央銀行(ECB)は14日の金融政策決定会合(理事会)で政策金利を0.25%引き上げた。しかしながら、ECBの利上げサイクル終了との見方が強まり、ユーロドルは5月31日安値1.064ドルを一時下方ブレイクした。
金融市場では、ECBの利上げ終了、来年春以降の利下げを織り込んでいる。今後は、ECBが現在の高い政策金利をどの程度維持するか、高い政策金利の「期間」に注目が集まる。

資料:BloombergよりDaily FXが作成



FOMC、日銀会合
20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)、22日に日本銀行が金融政策決定会合の結果を公表する。FOMCでは、政策金利の据え置きが予想されているが、ECB同様利上げサイクルの終了を示唆するのか、また、高い政策金利をどの程度維持するのか、政策金利見通しに注目。金融市場は、年内あと1回の利上げがあるかで意見が分かれている。
日本銀行は、実質賃金の伸びが緩慢である中、今回の金融政策決定会合では金融政策の維持を見込む。注目は、今後の金融政策修正を示唆するか、である。植田日銀総裁は、読売新聞の取材で、年内の金融政策修正の可能性について言及しており、日本銀行の金融政策を巡る不透明感が高まっている。
FRB、日銀の金融政策によって、当面のユーロ円、そしてユーロドル相場は変動することが見込まれる。FRBの利上げ終了、早期の利下げ観測が高まった場合や、日本銀行が当面の金融緩和維持を示唆した場合、ユーロ高ドル安、ユーロ高円安圧力になろう。

資料:BloombergよりDaily FXが作成
ユーロ円(EURJPY)見通し
ユーロ円は、7月28日から8月30日にかけてのユーロ円の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準156.57レベルでサポートされているものの、8月31日を起点とした右肩下がりのレジスタンスラインが機能しており、上値が重くなっている。MACDラインが下向きかつ、シグナルラインを下回っており、ユーロ円の下落圧力が強いことを示唆している。テクニカル面では、ややユーロに弱気である。
日本銀行の金融政策決定会合にて、早期の金融政策修正観測が高まった場合、サポートであるフィボナッチ38.2%水準156.57レベルを下方ブレイクしよう。ユーロ円の下落(ユーロ安円高)の勢いが強まり、7月28日から8月30日にかけてユーロ円の上昇の半値戻しである155.58レベルでサポートされるかに注目。
日銀会合に向けて、当面の金融緩和維持との思惑が強まった場合、現在158.20レベル近辺にあるレジスタンスを上方ブレイクできるかに注目。上方ブレイクした場合、ユーロ円の8月1日以降の下落トレンド終了の可能性が高まる。
ユーロ円(EURJPY)日足チャート




資料:Trading View
ユーロドル(EURUSD)見通し
ユーロドルは、一時5月31日安値1.064レベルを下方ブレイクしたものの、終値ベースではブレイクを免れた。しかしながら、RSIはユーロドルに弱気の50を引き続き下回っており、ユーロドルの下落トレンドが続いていることを示唆している。
FOMCにて、FRBの追加利上げ観測や、高い政策金利を維持するとの見方が強まった場合、ユーロドルは終値ベースで5月31日安値1.064レベルを維持できるかに注目。下方ブレイクした場合、ユーロドルの下落の勢いが強まり、ユーロドルは2月27日安値1.053レベルをトライしよう。
一方、FRBの利上げ終了、早期の利下げ観測が高まった場合、ユーロドルが5月末から7月18日までのユーロドルの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準1.077レベルを上方ブレイクできるかに注目。同レベルはレジスタンス転換しており、上方ブレイクした場合、ユーロドルの下落トレンド終了の可能性が高まる。
ユーロドル(EURUSD)日足チャート

資料:Trading View



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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著