日米欧の中央銀行の中で、ECBが14日に先駆けて金融政策決定会合を開催する。FRBとともに利上げサイクルの終了が視野に入る中、重要な金融政策決定会合である。このような中、ユーロ円、そしてユーロドルの今後の見通しとは



サマリー
- ECB理事会迫る
- ユーロ円、ユーロドルの個人トレーダーのセンチメント
- ユーロ円&ユーロドルの見通し
ECB理事会が迫る
8月は日米欧の中央銀行の金融政策決定会合がなかったが、9月は14日のECB(欧州中央銀行)理事会を皮切りに、20日FOMC(米連邦公開市場委員会)、22日日銀金融政策決定会合が開催される。
特にECBとFRB(米連邦準備制度理事会)は、利上げサイクルの終了が視野に入る中、どのような金融政策見通しを示すかに注目が集まる。一番早いECBの政策決定がFRBやその他の中央銀行の金融政策運営、そして為替市場に影響を与える可能性がある。
ロイターは、ECBの関係者筋の話として、最新の物価見通しで来年のユーロ圏の物価上昇率を3%超と想定している、との報道をしており、景気減速を受けて利上げを終了するのか、インフレ高止まりを受けて追加利上げを実施するのか不透明感が高まっている。
ECB理事会での利上げの有無、そして今後の金融政策見通し次第で、政策金利予想、そしてユーロ相場相場が変動しよう。
このような中、個人トレーダーのセンチメントはユーロ円、ユーロドルに中立であるが、ユーロ円およびユーロドルの見通しとは。詳しく見てみたい。
ユーロ円の個人トレーダーセンチメント
逆張り指標として機能する傾向のあるIG顧客センチメント(IGCS)によると、EURJPYを取引する個人トレーダーの約27%がネットロング(EUR買い持ち・JPY売り持ち、ユーロに強気)にしている。ほとんどの持ち高はネットショート(ユーロに弱気、円に強気)に傾いているため、IGCSは逆張り指標として機能することを勘案すると、ユーロ高円安が進展する可能性を示唆している。
しかしながら、昨日と比べてネットショートのトレーダー(ユーロに弱気)の割合が減少している一方、先週と比べてネットショートのトレーダーの割合が増加しており、まちまちである。このことを考えると、個人トレーダーセンチメントはユーロ円に中立である。
IGCS:ユーロ円




資料:DailyFX.com IG顧客センチメント(IGCS)
ユーロ円(EURJPY)見通し
ユーロ円は、心理的節目である160円を上方ブレイクすることに失敗したものの、7月28日から8月30日にかけてユーロ円の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%水準156.57レベルでサポートされている。RSIも50前後で推移しており、ユーロ円の明確なモメンタムを示しておらず、テクニカル面はEURJPYに中立である。
個人トレーダーセンチメント、テクニカル面で中立である中、ECB理事会の結果次第で、ユーロ円は上昇・下落、双方の展開を想定したい。
ECB理事会にて、追加利上げを実施した場合、もしくは更なる利上げの可能性を強く示唆した場合、ユーロ円は心理的節目160円を再度トライしよう。160円の上方ブレイクに成功した場合、ユーロ円の上昇トレンドへの転換の可能性が高まる。
一方、ECB理事会にて政策金利を据え置き、利上げサイクル終了との見方が強まった場合、フィボナッチ38.2%水準156.57レベルで引き続きサポートされるかに注目。下方ブレイクした場合、ユーロ円の下落トレンドへの転換の可能性が高まる。
ユーロ円(EURJPY)日足チャート

資料:Trading View
ユーロドルの個人トレーダーセンチメント
逆張り指標として機能する傾向のあるIG顧客センチメント(IGCS)によると、EURUSDを取引する個人トレーダーの約65%がネットロング(EUR買い持ち・USD売り持ち、ユーロに強気)にしている。半分以上の持ち高はネットロング(ユーロに強気)に傾いているため、IGCSは逆張り指標として機能することを勘案すると、ユーロ安ドル高が進展する可能性を示唆している。
しかしながら、昨日と比べてネットロングのトレーダー(ユーロに強気)の割合が増加している一方、先週と比べてネットロングのトレーダーの割合が低下しており、まちまちである。このことを考えると、個人トレーダーセンチメントはユーロドルに中立である。
IGCS:ユーロドル




資料:DailyFX.com IG顧客センチメント(IGCS)



ユーロドル(EURUSD)見通し
5月末から7月18日までのユーロドルの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント78.6%水準1.077レベルを下方ブレイクし、同レベルがサポートからレジスタンスに転換している。テクニカル面では、EURUSDに弱気(ユーロ安ドル高)シグナルが点灯している。
ECB理事会で利上げサイクル継続が示された場合でも、1.077レベルのレジスタンスをブレイクできない場合、ユーロドルの上値(ユーロ高ドル安)が重いことを投資家に印象付けよう。その場合、ユーロドルは、5月31日安値1.064レベルへ下落(ユーロ安ドル高)することを見込む。
一方、ECB理事会を経て、1.077レベルを上方ブレイクすることに成功した場合、次の上値として、ユーロドルは、7月6日安値1.083レベルへの上昇が視野に入る。
ユーロドル(EURUSD)日足チャート

資料:Trading View



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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著