※2023年4月6日16時36分更新
円の値動き:対米ドル・ユーロ・豪ドル



マクロ経済指標が相次いで軟調な結果となり、世界経済の減速が懸念される中、円は米ドルや一部の通貨に対して堅調な地合いを維持しそうだ。
主要10カ国(G10)のエコノミックサプライズ指数は3月末から急低下しており、2月上旬以来の低水準まで落ち込んだ。ここ数カ月、経済指標は相次いで予想を上回っていたが、その流れが一巡した可能性が高まっている。米国では、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ効果が波及する中、先月末以降に発表された経済指標(先週発表のGDP個人消費、5日発表のADP雇用統計、ISMサービス業指数など)は景気後退の可能性を示し、米国経済の失速懸念が広がっている。
最近の米経済指標が低調なため、経済成長見通しに対する楽観論は見直される可能性がある。コンセンサス予想では先月末まで、米国経済のマイナス成長は1四半期のみ(すなわち、自律的景気後退ではない)となっていた。市場は現在、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合でFRBが利下げを実施する確率を60%以上と織り込んでおり、少し前に、早ければ5月に1回の利上げを見込んでいたことから考えると、利上げ観測は急速に後退している。
米ドル/円 – 弱気な見通し
前回の記事で強調したように、米ドル/円は依然として下落トレンドにある(色分けされたチャートを参照)。2月の反発は自律反発狙いの買いによるもので、上昇の勢いは200日移動平均線付近で失速した。このことは、14週RSI(相対力指数)が反発後に53で頭打ちになったことからも再確認された。自律反発の場合、RSIが50―55付近で息切れとなる傾向がある。
米ドル/円 日足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
しかし、米ドル/円は、週足チャートにおける一目均衡表の雲の下端と2022年5月の安値126.35が重なる1月の安値127.20付近がかなり力強いサポートとなっている。そのため、米ドル/円の見通しは弱気に見えるが、今のところ下値は限られそうだ。リスク回避の動きが急ピッチで強まる、幅広い通貨に対して米ドルが弱くなるなど、強い売り材料がない限り、米ドル/円が126.35-127.20のサポートエリアを下方ブレイクする可能性は低いだろう。上昇局面では、先週の高値133.75が最初のレジスタンスとなり、より強力な壁は200日移動平均線(現在137.25付近)である。
米ドル/円 週足チャート
資料:TradingView
豪ドル/円 – 軟調な展開
豪ドル/円は、2022年5月からの水平トレンドライン(87.40付近)と、2021年初頭からの別の水平トレンドライン(85.70近辺)の少し上に位置する重要な収束サポートを試しており、軟調な展開となっている。このサポートを下方ブレイクした場合、200週移動平均線(現在81.60)に向かって下落する可能性がある。
豪ドル/円 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ユーロ/円 - 下方バイアスがかかったレンジ相場
週足チャート上で方向性を示す指標は、2020年以降に続いた(上昇)トレンドの状態が今のところ、落ち着いたことを示唆している。ユーロ/円は、最近形成された137-146のレンジ内にとどまり、短期的にはレンジの下限に向かって下降するバイアスがかかりそうだ。強いサポートは、週足チャートで一目均衡表の雲の下端(135.00付近)と重なる89週移動平均線である。
ユーロ/円 週足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
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--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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