S&P 500、NYダウ、個人トレーダーのポジション状況、テクニカル分析 – IGCSの米国株アップデート



ここ数日、米国市場ではセンチメントがある程度回復している。ダウ平均先物は、9月中旬以来の高値水準で推移しており、S&P 500先物は9月下旬以来の高値水準で取引されている。ファンダメンタルズ的な観点からは、最近発表された米経済指標(住宅価格指数や消費者信頼感指数など)が軟化した内容となったことを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢がいくらか弱まるのではとの見方が支えとなっているようだ。
個人トレーダーはこの値動きに飛びつこうとしているが、おそらく皆さんが考えているような方向ではないだろう。IGクライアントセンチメント(IGCS)によると、個人投資家は米国株のショートの持ち高を増やしているようである。IGCSは逆張り指標として機能する傾向がある。このことを踏まえれば、もしトレーダーが株式売却を続ければ、株式相場にとってはより良いニュースとなる可能性があるように思われる。
NYダウのセンチメント見通し - 強気
IGCSによると、ダウ平均を取引する個人トレーダーの約38%がネットロング(買い持ち)にしている。大半のトレーダーがネットショート(売り持ち)であることから、指数は上昇し続ける可能性があることがうかがえる。ショートポジションは昨日、先週に比べ、それぞれ7.31%、38.43%増加している。この点を考慮しつつ、現在のセンチメントと最近の変化を踏まえると、逆張り取引バイアスはさらに強気に傾いていると考えられる。

NYダウ 日足チャート
ダウ平均先物は、8月からの短期下降トレンドラインを上抜けたことが確認された。これにより、上げ幅が拡大する可能性がある。しかし上値には、今年初めから続く下降トレンドラインが存在するため、弱気のバイアスはまだ根強く残っている。とはいえ、目先はこのトレンドラインを意識した動きとなるかもしれない。下げに転じた場合は、8月のトレンドラインが再び視野に入ってくるだろう。

資料:Trading View
S&P 500のセンチメント見通し - 強気
IGCSによると、S&P 500を取引する個人トレーダーの約54%がネットロングにしている。ほとんどのトレーダーがネットロングであることから、指数は下落し続ける可能性があることがうかがえる。とはいえ、ショートポジションは昨日、先週に比べ、それぞれ8.52%と25.29%増加している。全体的なポジションの状況はロングに傾いているものの、センチメントの最近の変化は、指数は間もなく上昇に転じる可能性を示唆している。

S&P 500 日足チャート
日足チャートでは、S&P 500先物は50日単純移動平均線(SMA)まで上昇しており、これがレジスタンスとなって上値を抑える可能性がある。一方、同線の上抜けが確認されれば、上昇トレンドが再開するかもしれず、その場合は9月高値4,175が視野に入ってくる。しかし、1月を始点とする長期下降トレンドラインは、引き続き上値を抑制するだろう。

資料:Trading View
* IGクライアントセンチメントチャートとポジショニングデータは2022年10月25日付レポートより引用
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
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