※2023年8月10日10時22分更新
原油、WTI、個人トレーダーのポジション状況、テクニカル分析 – IGCSによるコモディティ市場アップデート



原油先物相場は6月に底入れして以来、24%近く上昇している。実際、原油相場は7週続伸が射程圏内に入っている。これが確認されれば、続伸記録は2022年1月以来最長となる。
これを受け、個人トレーダーは積極的にネットショートのポジションを増やすことで対応している。トレーダーのポジション状況はIGクライアントセンチメント(IGCS)で確認できる。IGCSは逆張り指標として機能する傾向がある。その点を考慮すると、原油価格はさらに上昇し続ける可能性がありそうだ。
原油相場のセンチメント見通し - 強気
IGCSによると、原油を取引する個人トレーダーの約38%がネットロング(原油を買い持ち)にしている。大半のトレーダーが売り持ちに傾いていることから、この先も価格は上昇する可能性がある。ネットショートのポジションを昨日と先週で比較すると、8.13%、11.22%それぞれ増加している。このように、現在のセンチメント(ポジション状況)および最近の変動(日次、週次でのポジション変化)を考慮すると、原油価格の逆張り取引バイアスはさらに強気に傾いていると考えられる。
下図の日足チャートを見ると、米原油先物指標のウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)は81.44-83.48の重要なレジスタンスゾーンを上回って引けている。このゾーンは、昨年末以来、中立的なテクニカルバイアスを維持するのに役立ってきた。9日の終値は2022年11月以来の高値を記録し、フィボナッチ・リトレースメント78.6%の水準87.28も視野に入ってきた。さらにその上には、昨年11月の高値水準である92.43-93.72のレジスタンスゾーンがある。
また、50日移動平均線が100日移動平均線を上回る強気のチャートパターンであるゴールデンクロスが形成されつつある。この値動きを背景に、テクニカルバイアスは引き続き強気を維持する。しかし、RSI(相対力指数)では弱気のダイバージェンスが発生している。これは上昇の勢いが弱まる兆候であり、時に下降に転じることがある。下落となる場合は、6月からの短期上昇トレンドラインを注視されたい。



原油価格 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com シニアストラテジスト ダニエル・ドゥブロスキー著
ドゥブロスキー氏に連絡するには、Twitter で @ddubrovskyFX までお願いいたします。