WTI原油、天然ガス、在庫、金融引き締め―トーキングポイント
- ECBフォーラムでは主要中銀(日本除く)は金融引き締め継続を示唆
- しかしながら、原油在庫減少から原油価格は減少。天然ガス価格は利益確定により下落
- このような中、天然ガス価格、原油価格のテクニカル分析に基づく見通しは?



ECBフォーラムでは、日本銀行を除く主要中銀は金融引き締め継続を示唆した。金融引き締めは、将来の景気減速により原油の需要が減少するとの懸念から、原油価格にとってネガティブであった。一方、米国原油在庫データが公表され、原油在庫は市場予想以上に減少した。米国景気が底堅く推移する中、需給の引き締まりが意識され、原油価格は上昇した。

一方、天然ガス価格は下落した。最近の上昇を受けた利益確定の動きがあろう。天然ガス価格は昨年後半から今年3月にかけて急落、4月以降緩やかに上昇しているものの、原油価格と比べて依然として大幅に下落した水準である。
WTI原油価格(右軸)と天然ガス価格(左軸)

資料:Trading View
天然ガス価格のテクニカル分析
4月中旬以降続く、連続した高値・安値の切り上がりが継続(ダウ理論)、天然ガス価格の上昇圧力が高いことを示している。
MACDラインはシグナルラインを引き続き上回っており、天然ガス価格の上昇の勢いは衰えていない。また、20日指数移動平均線が50日指数移動平均線を上抜ける強気の「ゴールデンクロス」が成立している。3月高値3.03ドル更新が視野に入る。
サポートとして、最近のレジスタンスであり9日指数移動平均線が位置する2.63レベルに注目。サポート転換したことが確認されると、下値が限定的と投資家に印象付け、一段の上昇トレンドが視野に入る。
天然ガス価格日足チャート

資料:Trading View
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -11% | 13% | 3% |
週次 | -8% | 4% | 0% |
原油価格のテクニカル分析
下落トレンドの始まりを示唆する「陰の包み足」が示現している。RSIは原油の弱気モメンタムを示唆する50以下である。ECBフォーラムでは、日本銀行を除く主要中央銀行は金融引き締め継続を示唆しており、原油価格にとってネガティブである。引き続き、水平サポートライン67ドルでサポート(終値ベース)されるかに注目。下方ブレイクした場合、3月以来の65ドル割れが視野に入る。
一方、67ドルでサポート(終値ベース)され、50日指数移動平均線(現在71.74ドル)を上抜けた場合、下落トレンドから反転パターンである逆ヘッドアンドショルダー(逆三尊)が形成され、原油価格の低迷が終了した可能性が高まる。その場合、水平レジスタンス73.21ドルをトライが視野に入る。
WTI原油価格日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著