英国でインフレ率が公表され、インフレの高止まりが示された。米欧の利上げ停止が視野に入る中、英中銀は難しい舵取りを迫られている。このような中、英ポンドの対円、対ドルでの見通しとは



サマリー
英国インフレ公表、英中銀の政策は
英国にてインフレ率が公表され、事前の市場予想ほどインフレの鈍化を示さなかったこと(コアインフレは前月と同じ)から、英中銀の利上げ織り込みが進展した。高インフレを受け、積極的な利上げを実施してきた中央銀行であるが、金融政策の転換を迎えつつある。FRB(米連邦準備制度理事会)、ECB(欧州中央銀行)ともに年内据え置きとあと一回の利上げで市場の見方が分かれている。一方、金融市場では、来年3月までに英中銀による3回以上の利上げが予想されており、FRBやECBの金融政策織り込みと対照的である。

資料:Trading Economics

資料:BloombergよりDailyFXが作成
11日に発表されたGDP成長率は市場予想を上回る結果であったものの、英中銀の積極的な利上げを受け、英国の景気減速懸念が急速に高まっている。景気の先行指標である購買担当者景気指数(PMI)は、好不況の分かれ目である50を製造業は下回っており、サービス業もピークを越えたことが鮮明になっている。主要中銀の利上げ終了が視野に入り、英国でも景気減速懸念が強まる中、インフレ鈍化の兆しが鮮明になりつつあり、利上げ織り込みが剥落、英ポンド安要因になる可能性がある。

資料:BloombergよりDailyFXが作成
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -2% | -4% | -3% |
週次 | -8% | 5% | -4% |
英ポンド/米ドルの見通し
英ポンド/米ドルは、5月から7月のGBPUSDの値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2%%水準1.2823レベルを下方ブレイクし(GBP安米ドル高)し、レジスタンス転換している。RSIも英ポンド安トレンドへの転換を示唆する50割れに転換しており、フィボナッチ61.8%水準1.2626レベルが視野に入る。
同レベルを下方ブレイクした場合、3月以降の連続した高値・安値の切り上がりが途絶え、英中銀の利上げ織り込みが剥落する可能性がある中、英ポンド高米ドル安トレンドが終了する可能性が高まる。
英ポンド/米ドル(GBPUSD)日足チャート

資料:Trading Viewより作成
英ポンド/日本円の見通し
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -3% | -4% | -4% |
週次 | -5% | -6% | -5% |
英ポンドが米ドルに対して下落する中でも、米ドル高円安が進展している結果、英ポンド円の上値が切り上がっている。英ポンドが米ドルに対して下落することを見込む中、引き続き米ドル円の動向が英ポンド円の値動きを左右しよう。
テクニカル面では、GBPJPYは、6月後半以降のレンジの上限184.012レベルを上方ブレイクし、GBP高JPY安トレンドへ転換している。MACDラインはシグナルラインを上抜けており、GBP高JPY安トレンドの勢いは衰えていない。6月後半以降のレンジ幅から188.564レベルへの英ポンド高円安進展が視野に入る。
一方、米ドル円は昨年の為替介入時の水準を上回っており、介入警戒感が高まっている。介入警戒感が高まった際やドル円が下落した局面で、レンジ上限であった184.012レベルがサポート転換しているかに注目。サポート転換していることが確認された場合、GBP高JPY安地合いが強いことを投資家に印象付けよう。
英ポンド/日本円(GBPJPY)の日足チャート

資料:Trading View



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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著