


第2四半期の豪ドルは、米ドルに対して上昇傾向にある数少ない通貨だったが、現在までに約4.6%下落している(下図参照)。新型コロナウイルスに対する「ゼロ・トレランス(わずかな不具合も見逃さず、不良品を徹底的に排除すること)」政策と経済成長への懸念の高まりにより中国経済が揺らいでいる間、コモディティ価格が下落に転じたことが要因だろう。
世界の外国為替レート

出所:ロイター
世界の中央銀行が金融引き締めを実施しているため、景気後退に対する懸念の新たな波が生まれている。豪ドルはマーケットのリスクオン・リスクオフの影響を受けやすいので、上昇が妨げられている。ただし、FRBとRBAの方向性が重なることにより、豪ドルの流れが変わるかもしれない。第2四半期にはFRBがよりタカ派的な見解を示したが、RBAも加わったため、中央銀行間の乖離が収束すると予測される。
もちろん、ロシア・ウクライナ情勢は依然として不安定であり、豪ドル/米ドルの値動きに影響を与えるだろう。コモディティ価格の混乱、リスクセンチメントの変化という形で影響が現れる可能性があり、今後も注視する必要がある。
豪ドル/米ドル テクニカル分析
豪ドル/米ドル 週足チャート

チャート作成:ウォーレン・ベンケタス、IG
長期のチャートでは下落しているが、以下の日足チャートでも表されているように、RSI(相対力指数)をみるとその勢いは弱まっていることがわかる。豪ドルには依然として下落の余地があるが、短期間で終わる可能性がある。
豪ドル/米ドル 日足チャート

チャート作成:ウォーレン・ベンケタス、IG
豪ドル/米ドルの日足チャートでは、RSIで表されているように、下落の勢いが弱まっていることがわかる。RSIの直近の安値に上向きのトレンドラインが重なっているのが見えるが、重なっている部分は安値を示している。この現象はダイバージェンスと呼ばれ、上記チャートの状態は強気のダイバージェンスと捉えられる。
強気のダイバージェンスは、豪ドル/米ドルの下降トレンドが上昇トレンドに転換することを示唆している。ファンダメンタルズの背景により、上昇トレンドに転換した場合は0.7000を上抜けすると予測している。
弱気の観点からは、週足のローソク足の終値が直近の安値である0.6829を下回ると、週足トレンドラインのサポートゾーンに向けてさらに下落する可能性がある。
主要レジスタンスライン:
-0.7183 (フィボナッチ61.8%)
-0.7100
-0.7000
主要サポートライン:
-0.6829
-0.6777 (2020年6月スイング安値 )