※2023年4月11日17時50分更新。
AUD、NZD、CAD、MXN、金融政策、資源国-トーキングポイント
- カナダ中銀の利上げ停止スタンスに変化が見られるか注目
- ニュージーランド中銀のタカ派スタンスが際立つ
- カナダドル、メキシコペソ高、豪ドルは中立、ニュージーランドドル安を見込む



カナダ中銀はスタンスを変更するか!?
12日にカナダ銀行(中央銀行)は金融政策決定会合を開催する。先週発表のカナダ雇用統計は力強い内容であった(「カナダドル見通し:戦いの火ぶたが切られた~カナダ中銀の陣」参照)。カナダ中銀はいち早く利上げ停止に踏み切った中央銀行であるが、利上げ停止スタンスに変化が見られるか注目したい。
カナダ以外の資源国(豪州、ニュージーランド、メキシコ)の中央銀行では、豪州は利上げ停止、メキシコは利上げペースを緩めており、5月の金融政策決定会合では0.25%の利上げが有力視されている。ニュージーランド準備銀行(中銀)は先週の金融政策決定会合にて、0.5%の大幅利上げを実施し、主要中銀の中でタカ派スタンスが際立っている。資源国の中央銀行の中でも、インフレ状況等を背景に金融政策スタンスに乖離が見られ始めている中、今後の資源国通貨(豪ドル、ニュージーランドドル、カナダドル、メキシコペソ)の見通しは?
豪ドル/米ドル:中立
RSI(相対力指数)は50割れ、MACDラインは横ばいであり、ほぼ中立もしくは豪ドル安トレンドを示唆している。一方、2月から3月にかけて豪ドル安米ドル高が進展したものの、2022年10月から2023年2月にかけての豪ドル高米ドル安に基づくフィボナッチリトレースメントの61.8%の水準の0.66504で反発している。61.8%戻しは通常の調整の範囲内であり、豪ドル高トレンドが継続していることを示唆している。また、相場の反転を示唆するアセンディングトライアングルを形成している。強弱両方のシグナルが点灯していることから、中立の見通しとする。ただし、レジスタンスとなっている50日移動平均線及びすぐ上に位置するトライアングルの水平レジスタンス0.67839を上方ブレイクした場合、上昇トレンドが鮮明になり、今年の最高値の0.71577が視野に入る。
豪ドル/米ドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
ニュージーランドドル/米ドル:NZドル安
日足チャートでは0.60838~0.65141のレンジ内で推移している。RSIは50、MACDラインはほぼ横ばいであり、中立を示唆している。一方、4時間足チャートを確認すると、トレンドラインを下方ブレイクし、3月10日からのNZドル高トレンドが終了したことを示唆している。また、下落シグナルである三役逆転が成立している。また、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)による利上げは金融市場で既に織り込まれており、一段の利上げ織り込みによるNZドル高は見込みづらく、弱気とする。
ニュージーランドドル/米ドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
ニュージーランドドル/米ドル4時間足チャート

資料:Trading Viewより作成
米ドル/カナダドル:カナダドル高
重要な水平サポートラインである1.36541を下方ブレイク(米ドル安カナダドル高が進展)しており、カナダドル高トレンドに弾みが付いている。RSI(相対力指数)は41とカナダドル高(米ドル安)の地合いであることを示している。また、金融市場で予想されているカナダ中銀の利下げ織り込みは剥落する余地があり、カナダドル高を見込む。1.339に現在位置する200日移動平均線、そして今年の下値(カナダドル高)である1.32620が視野に入る。
米ドル/カナダドル日足チャート

資料:Trading Viewより作成
米ドル/メキシコペソ:メキシコペソ高継続
週足チャートを確認すると、2020年4月から10月にかけて米ドル安メキシコペソ高が進行し、22年12月までレンジ内で推移する下降レクタングルパターンを形成していた。下降レクタングルパターンはそれまでのトレンドの継続を示唆するパターンである。23年1月に入り、下降レクタングルパターンのサポートラインを明確に下方ブレイクし、米ドル安メキシコペソ高トレンドが再開したことを示唆している。また、米ドル/メキシコペソは19.444のサポートラインを下方ブレイク後、同ラインがレジスタンス転換している。下降レクタングルパターンの価格幅からは16.85までのメキシコペソ高が見込まれる。メキシコペソは先進国通貨と比べリスクはあるものの、高い実質金利の水準もメキシコペソのサポート要因となろう。実質金利が高い国の通貨は強含む傾向がある。
米ドル/メキシコペソ週足チャート

資料:Trading Viewより作成

資料:BloombergよりDailyFX.comが作成(実質金利は名目10年金利-10年期待インフレ率)
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--- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著