中国政府による「iPhone」規制を受けてApple株が連日大幅安を記録した。このような中、米国株投資家心理を示す恐怖指数:VIX指数は上昇する可能性は?また、S&P500指数の今後の見通しとは



サマリー
中国政府iPhone禁止
アップル株が連日の大幅安になった。中国政府がAppleの主力商品「iPhone」規制を拡大し、一部の中央政府機関の職員に対し、公務での「iPhone」の使用を禁止したことが背景にある。Appleの株価は、6日に3.6%、7日に2.9%下落し、2日間で時価総額は約1900億ドル減った。8月末時点と比べると、他の主要ハイテク株はグーグル、アマゾン、ネットフリックスといった主力ハイテク株は概ね横ばい~上昇しているのと対照的である。
テクノロジー分野をめぐる米中の覇権争い・摩擦に伴い、両国ともに個別企業や特定の市場に対して規制や制裁を課している。今後も米中双方からハイテク企業・セクターなどに焦点をあてた規制・制裁を導入する可能性があり、両国の動向が今後も米国株の波乱要因になろう。

資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。8月31日を100として指数化
恐怖指数:VIX指数の見通し
恐怖指数とも言われる米国株の投資家心理を示すボラティリティ指数(VIX指数)は、8月に上昇する傾向がある。これは、8月は金融市場参加者が休暇シーズンで、米国株の流動性が低下していることや、FRB(米連邦準備制度理事会)などの中央銀行の重要の金融政策のヒントを示すことが多いジャクソンホール会議が開催されることなどが背景にある。
しかしながら、9月も注意が必要である。9月は歴史的に米国株、S&P500指数が下落する傾向がある。S&P500の下落に伴い、投資家心理が悪化し、VIX指数が上昇する傾向にある。
特に、今年はFRBの利上げサイクルが終了したのか、それとも更なる利上げを実施するのか、金融政策を巡る不透明感が高まっている。20日のFOMC(米連邦公開市場委員会)に向けて、FRBの金融政策を巡る不透明感が高まり、恐怖指数:VIX指数が上昇する可能性がある。
VIX指数&S&P500:過去10年間の平均月次変化率(%)

資料:BloombergよりDailyFXが作成。
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 7% | -3% | 2% |
週次 | 48% | -16% | 10% |
S&P500指数の見通し
S&P500指数は、7月27日を起点とした右肩下がりのレジスタンスラインを上方ブレイクした。また、MACDラインがシグナルラインを上抜けるS&P500に強気の「ゴールデンクロス」が示現している。テクニカル面で、S&P500指数に強気シグナルが点灯している。
しかしながら、9月に入り、S&P500は歴史的に下落しやすい季節性であることや、アップルの株価下落などを受けて、下落基調にある。現在4,400レベル近辺にあるレジスタンスラインがサポート転換しているかに注目したい。サポート転換していることが確認された場合、S&P500の地合いが強まっていることを投資家に印象付け、S&P500は9月1日高値4,541レベルをトライすることを見込む。
一方、4,400レベルを下方ブレイクした場合、S&P500の上昇トレンドからの転換が鮮明になる。その場合、S&P500の下値の目途として、6月26日安値4,328レベルへの下落が視野に入る。
S&P500日足チャート

資料:Trading View



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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著